鵺翠の音楽の世界と読書の記録

クラシック音楽を趣味とする早大OB

【大阪フィル】第54回東京定期演奏会 in サントリーホール

Introduction

 本日は、【大阪フィル】第54回東京定期演奏会である。そして、プログラムは、ブルックナー交響曲第5番変ロ長調(ノヴァーク版)
 ブルックナー大好き人間において、この交響曲第5番は聴き逃してはならない。そして、この交響曲第5番演奏至難な作品としても知られ、特に第4楽章は、金管奏者に超絶的なスタミナを要求することでも有名で、筋金入りのブルックナー指揮者のみが近づくことの許された作品と評されるほどである。何度も同じような主題が繰り返されたりと、聴く側も鍛錬が要求されるとも言えよう。
 さて、曲の内容はこの程度にして、本日はブルックナー好きにはたまらない組み合わせである。大阪フィルといったら、朝比奈隆先生を語らずにはいられない
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 朝比奈先生は世界的ブルックナー指揮者であった。朝比奈先生によって鍛え上げられた独特のサウンド「大フィルサウンドを響かせる。それを日本屈指の指揮者である尾高忠明先生によって奏でられるのである。
 これはもう楽しみでしかない!

本日のプログラム

ブルックナー交響曲第5番変ロ長調

第1楽章:Introduction. Adagio - Allegro

 冒頭弦楽器のピッツィカートによって幕を開ける。そして清らかで神聖な音色を響かせた。その後、金管楽器金管楽器のコラールが響くのだが、荘厳な音色を響かせた特にトランペット(おそらく高見 信行先生)の音色が目立っていた。早速尾高先生による大フィルサウンドを聴き、今後の展開が楽しみである。
 そして、第1主題の登場。朝比奈先生のような濃厚な音色ではなく、爽やかで温もりのある弦楽器が第1主題を奏でた。尾高先生は指揮棒を使わないで指揮をするため、尾高先生の動きに合わせて美しい音色が奏でられていた。そして、テンポは少し早めであって快速に進んで行った。朝比奈先生の独特な重厚感もありながら聴きやすい音色が響き渡っていた。第2主題はピッツィカートも含んだ静かな場面。テンポは遅くし、繊細さを引き出していた。演奏される楽器が少なく、繊細な響きに加え緊張感が漂っていた。尾高先生の緻密な音楽がそこにはあった。そして第3主題。第1主題の活発的で快速的なテンポが戻り、非常に溌剌とした演奏であった。そして、尾高先生の指揮は非常にわかりやすく、オケの方々との意思疎通も完璧であったためか物凄い充実しきった演奏が繰り広げられていた
 そして、ホルンの雄大な音色とフルートの繊細な応答を持って展開部を経る。随所の金管楽器の力強い響き、木管楽器の輝かしい音色が幾度と聴こえた。
 再現部も提示部と同様に迫力ある金管楽器の音色、物凄い充実ぶりであった。
 コーダに入ると充実さがさらに増していき、コンサートマスターの崔文洙先生は立ち上がってしまいそうなほど熱のこもったトレモロであり、すでにフィナーレを思わせる迫力がそこにあった

第2楽章:Adagio. Sehr langsam

 弦楽器のピッツィカート。これは3連符である。オーボエの哀愁漂う主要主題が奏でられ、ファゴットも加わって木管楽器特有の暖かさが響き渡った。そして弦楽器が加わると清廉な雰囲気にガラリと変わった。尾高先生の音楽作りに驚かされっぱなしであった
 そして、弦楽器の副主題は厚みもありながら清廉で美しい音色が奏でられていた。本当にお見事な音色であり、朝比奈先生の名残もあるのだろう。何かを祈る、そのような荘厳な響き恍惚とした。
 後半の弦楽器の6連符の箇所も一直線に美しくうねり、木管楽器の美しい主要主題が織り重なっていた。その後の金管楽器の加わると荘厳な響きとなり、音楽的建造物が垣間見えた。
 第2楽章は大体約15分〜18分と決して短くないのだが、この日はあっという間に第2楽章が終わってしまった。

第3楽章:Scherzo. Molto vivace (Schnell)

 早いテンポのピッツィカートで第3楽章の幕を開け、迫力ある金管楽器が第1主題を奏でる。そして、第2主題は一気にテンポを落として厳格に3拍子を刻んでいった「Bedeutend langsamer(テンポをかなり落として)」と指示があるため、第1主題と第2主題にかなりのテンポの差がある方が望ましい。尾高先生もテンポに差を設けられていた。この荒々しいスケルツォはいかにもブルックナーらしい。
 トリオも第2主題と同等のテンポであり、しっかりとした3拍子を刻んでいた。思わず体が動いてしまった。途中のホルンの雄大な音色も素晴らしかった。この第3楽章のトリオも好きなのである。

第4楽章:Finale. Adagio - Allegro moderato

 いよいよ第4楽章。第1楽章冒頭と同様に神聖さがこもった幕開けであった。そして、第1楽章第1主題、第2楽章第1主題が回想され、ベートーヴェン交響曲第9番のフィナーレに通じるものである。
 そして、チェロとコントラバスによる第1主題が奏でられるが、やや快速的テンポで颯爽と進んでいく。力強さもありがなら強い推進力のある第1主題は聴いていて新鮮であった。その後の軽快な第2主題は清らかで美しく、大きな音楽を築き上げていた。尾高先生が作り上げる緻密で美しい音楽は驚くばかり。そして、力強い第3主題。これはテンポを快速的に戻し、力強い推進力を齎すと共に、ブルックナー特有の荘厳さが際立った。その後、金管が荘重なコラールを奏でられる。解説にはこれを「第4主題」としていた。トランペットの音色が際立ち、荘厳テンポで何かのファンファーレを思わせるような美しさであった
 展開部に入ると複雑なフーガに入る。遅くないやや早めのテンポで颯爽と奏でられるフーガは聴いていて実に爽快であった。朝比奈先生のような超濃厚な演奏ではなく、サッパリとしながらもブルックナー特有の重厚さを失わせない音楽作りは流石は尾高先生。日本を代表する巨匠である。
 再現部も同様に力強さもありながら繊細さもある緻密な音楽が奏でられていた。
 そして、長大なコーダである。全ての楽器が奏でられ、伸びやかなトランペットが音楽的建造物の頂点を建設する。弦楽器のトレモロが神聖さを際立たせ、演奏者の方々の気合もものすごかった。尾高先生の気合もものすごく、熱のこもった指揮の姿は目にしっかりと焼き付けた。頂点に達したところで、最後の締めくくりとなるがぐっとテンポを落とした事に驚きと猛烈に惹かれる何かがあった。そして最終音が鳴らされた後、約10秒近く静寂な時間が続いた。
 …これがブルックナーの終わり方である。フラ拍もなく、聴衆全員ブルックナー付きであったであろう。そして拍手喝采となった。

総括

 ずっと楽しみにていたブルックナー交響曲第5番。筋金入りのブルックナー好きならば、必要不可欠の作品である。
 私は大阪フィルということで、朝比奈先生の演奏で予習をしていた。個人的にブルックナー交響曲第5番は朝比奈先生の右に出るものはいないと認識している。あのチェリビダッケカラヤンよりも、あの独特の重厚さ、柔らかさ、荘厳さは朝比奈先生にした生み出すことはできない。そして、約50年近く朝比奈先生は大阪フィルの監督を務めていた。そのオーケストラを日本を代表する巨匠指揮者である尾高忠明先生が本作品を指揮することになり、どのような音楽を奏でるのかとても楽しみであった。
 今日、尾高先生のブルックナーを聴いたのだが「朝比奈先生の音楽を承継するものではなく、尾高先生のブルックナーであった。随所朝比奈先生と大阪フィル特有の重厚感溢れる音色があったものの、テンポは朝比奈先生の厳格なテンポとは異なり、やや快速的テンポで駆け抜けるのは尾高先生ならではの解釈であった。
 朝比奈先生とは違った充実さに非常に満足であった。尾高先生はカーテンコールの途中、自らスコアを持ち帰った。
 そして、鳴り止まぬ拍手に一般参賀が行われた。尾高先生とコンサートマスターの崔文洙先生と一緒に…。

前回のコンサート

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【1951年バイロイト音楽祭の真偽が明らかに!?】ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調を聴く(その4)

Introduction

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 前回に続けてバイロイト音楽祭の演奏についてである。バイロイト音楽祭の演奏の問題点については、前回の記事をご覧いただきたい。
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 実際の放送が入っている音源を見ると、スウェーデン放送音源が正しい本物の演奏であるといえよう。私はEMI音源バイエルン放送音源の両方を持っていたので聴き比べることにした。
 すると、どちらが本物の演奏であったかがわかったのだ。その答えが今回の記事にすることとした

ベートーヴェン交響曲第9番ニ短調

ヴィルヘルム・フルヴェングラー:バイロイト祝祭管弦楽団

評価:10 演奏時間:約74分【当方推薦盤】

第1楽章:Allegro Ma Non Troppo

 冒頭、雑音が目立つがゆっくりとしたテンポによって幕を開ける。そして、ゆったりとしたテンポで大変力強い第1主題が奏でられるフルトヴェングラー独特のテンポによって開始される第1楽章は異様な雰囲気が漂う。ただ、音質は大変素晴らしく、大迫力演奏が鮮明に聴こえる第2主題も引き続き、遅めのテンポでゆっくりと奏でられているスウェーデン盤にあった随所にノイズは全く気にならない程度に取り除かれている。そして、重要なのは3分14分あたりの観客の咳である。私が確認したところ、スウェーデン盤にも同じような箇所に同じような咳が入っていた。そうすると、本演奏が本物であると位置付けられる。緊張感ある提示部を鮮明な音色で楽しむことができる。
 展開部に入ると、提示部第1主題の緊迫感が戻ってくる。フルトヴェングラー特有の緊張感、暗さがよくわかる。低減楽器も重厚感あふれる音色と共に、ヴァイオリンの音色が折り重なってくる。テンポはそこまで速いのだが、独特の異様な雰囲気はフルトヴェングラーならではの空気感に包まれる。高らかに鳴り響くヴァイオリンが鮮明に聴こえ、それを支えるトレモロもはっきりと聴こえる
 再現部においては、第1主題において十分な気合いが伝わり、気迫溢れる弦楽器とともに襲いかかってクレッシェンドは実に恐ろしい。なお、弦楽器を中心に拾っているようであり、ティンパニはあまり目立たないものとなってしまった。その後の第2主題はゆったりと穏やかに変わる。まるでベートーヴェン交響曲第6番第4楽章→第5楽章へと移り変わるようだ。非常にテンポを遅くして落ち着いた印象を与える。
 コーダもテンポを遅して、圧倒的な音圧を持って襲い掛かる。随所ものすごくテンポを落としたりしており、約18分の第1楽章を終える。
 スウェーデン盤と異なり、第2楽章までの間はカットされている。

第2楽章:Molto Vivace

 冒頭の幕開けは弦楽器は迫力ある音色を響かせる。気合の入った弦楽器が主部を力強く刻んでいく。スウェーデン盤にはノイズが気になったが、ここも全くと言って良いほどノイズが取り除かれている。繰り返しあり
 トリオは、微妙に少しずつテンポが遅くなっている。フルトヴェングラーの非常にわかりにくいとされる指揮法によって生み出される音楽は、緻密で独特な音色を響かせる。木管楽器の軽やかな音色と、遅いテンポによる重厚感あふれる弦楽器の音色を響かせる。ただし、ちょっとホルンの音色が小さめ。ホルンの雄大な音色がポイントとなるのだが、ちょっと残念だ。一方、弦楽器の音色はしっかりと聴こえてくる。遅めのトリオも良いものだ。
 そして、主部が戻り、力強い演奏が繰り返される。

第3楽章:Adagio Molto E Cantabile

 冒頭、遅めのテンポで穏やかな木管楽器によって幕を開ける。主題部に入ると、かなり遅いテンポで美しい弦楽器が第1主題を奏でる。「爆速」とのイメージが強いフルトヴェングラーであるが、時には遅い演奏もするのである。実際に、この第3楽章は約19分かけて演奏しているのだ。遅めのテンポによる第3楽章もまた素晴らしい。フルトヴェングラー特有のクレッシェンドがよくわかる。しかし、これだけ遅いと演奏者も大変だろう…。
 遅めのテンポによるアダージョは弦楽器が美しく謳っている。そして、音質が非常に良好なことも相まって、弦楽器の美しさがよくわかる。
 第3変奏において、8分の12拍子はかなり遅いテンポで進められていく。弦楽器の清らかな音色がしっかりと響き渡っている。遅いテンポだが急がず、音楽に身を預けて聴くべきである。それにしても、かなり遅い(笑)。
 終わりに近づくにつれ、途中金管楽器のファンファーレが登場する。トランペットの張りのある音色もしっかりと確認できる。このトランペットの音色はどこまでも響いていきそうである。
 約19分と遅い第3楽章から第4楽章へ。

第4楽章:Presto, Allegro Assai

 Presto。標準的なテンポであるが、トランペットの音色がよく目立つ。低弦のレチタティーヴォが登場するのだが、フルトヴェングラー独特のアゴーギクが冴え渡る
 Allegro assai長い沈黙の後、非常に小さな音でコントラバスとチェロによって超有名な主題が奏でられる。やがて、ファゴットが甘美な音色を響かせる箇所に代わるが、やや弦楽器の音が大きくファゴットの音色が少し小さめになってしまった。しかし、しっかりと聴こえる。そして、金管楽器が加わるとトランペットの高らかな音色が響き渡る。迫力満点の演奏が繰り広げられる。最初の低弦楽器の時から、徐々にテンポが速くなっている。
 Presto; Recitativo "O Freunde, nicht diese Töne!"; Allegro assaiバリトン歌手(オットー・エーデルマン)の登場し、いよ合唱が伴う。古い音源であるものの、しっかりと歌が聴こえる。音質も非常に良好であるから、合唱の美しいハーモニーがよくわかる。合唱も相当の気合が入っているようで、熱量がより一層伝わる。また、フルトヴェングラー特有の思い切った強弱もよくわかる。
  Allegro assai vivace (alla marcia)テノール歌手(ハンス・ホップ)のソロパートは多少速めのテンポである。ノイズは全くなく、ハンス・ホップの迫力ある歌声とピッコロの音色もはっきりと聴こえる。シンバルとバスドラムの音色は確かに大きいが、他の楽器等をかき消すというほどではない。
 非常に複雑で格好良い間奏の後に超有名な箇所に入る。途中、スウェーデン放送音源では音量が一時的に小さくなる箇所があるが、この演奏では全くそのような場面はない。気をつけていないと、どこの部分かわからないほどだ。超有名な合唱箇所はフルトヴェングラーは多少速めのテンポで演奏する。大迫力の合唱とオーケストラが見事に調和され、言葉には言い表せない音楽が広がる
 Andante maestosoトロンボーンによって始まる。かなりビブラートを効かせているようだ。1951年と昔に録音されたものとは思えないほど、音質が良く、荘厳な合唱も十分に聴こえる。ボリューム調節も全く不要といえよう。
 Allegro energico e sempre ben marcato。高らかに歌い上げるソプラノ等、やや速めのテンポで颯爽とかける。個人的にこの箇所ものすごい好きなのである。引き続いて大迫力の合唱と、気合の入った金管楽器が鳴り響く。本当に素晴らしい迫力である。
 Allegro ma non tanto男声合唱と女声合唱が交互に歌う。テンポは標準的であり、軽やかに演奏される。スウェーデン放送音源では、途中トランペットがやたら目立っていたが、本演奏でも確かに目立つが一人歩きして昼ようなものではない。。特に違和感なく聴くことができる。
 Presto; Prestissimo。いよいよ、最終部である。合唱は相当な声量が出ているのだろう、気迫がものすごい。そして、オーケストラの熱量もものすごいフルトヴェングラーの熱量恐ろしき。そして、注目の一番最後の部分は相変わらずの爆速であり、シンバルがずれてしまっているが、そんなのはお構いなし、超特急で締めくくる。このシンバルがずれているのも、この演奏で確認することができる。

 なお、拍手はなし。

 上記の通り、バイエルン放送音源が本物の演奏と結論づけることができるだろう。スウェーデン放送音源は当時の放送をそのまま再現しており、ノイズ等が入ってしまったが、臨場感はこちらの方が上だろう。しかし、鑑賞とするには良好な音質であることが要求される。バイエルン放送音源は全くといって良いほどノイズは除去されており、各楽器もよく聴こえ、鮮明に聴こえるのである。
 したがって、この演奏はクラシック音楽好きにとっては必ず持っておくべき一枚であろう。

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【読響】第31回大阪定期演奏会 in フェステバルホール

Introduction

 2021/12/24は、第31回大阪定期演奏会。今年3回目の第九となる。
 そして、初めての大阪遠征であり、おかわりでもある。前の記事でも述べたが、大学4年時の私の誕生日に大阪フィルの演奏を聴きに行く予定だったのだが、コロナの関係上断念。そして、年末のわずかな時間を縫って大阪に行くことにしたのである。
 プログラムの前に、東京→大阪間での出来事等をまとめておこう。

 のぞみ347号新大阪行きに乗って新大阪まで。駅の時計を見る通り、随分と早く東京駅に着いてしまった。実は、東京駅は定期圏内であるため、毎日東京駅近くを歩いている。しかし、東海道新幹線に乗るのは大学3年ゼミ旅行以来となる(コロナ禍前)。なので、東海道新幹線に乗ることが非常に楽しみであったのだ
 長時間新幹線を待っていると…

 なんと、ドクターイエローが!!!幸せを運ぶ新幹線を生で見られるとは思わなかった。ホームでもたくさんの子どもがいたのはその理由だったのか。早く着いてなかったら見られなかっただろう。幸先の良いスタート。もっとも、ここで全て使い果たしてしまったのではないか…。

 12時18分発ということで、駅弁を買っておいた。もちろん崎陽軒の炒飯弁当」である!この炒飯弁当はすぐに売り切れてしまうため、競争率が高い。第一候補として炒飯弁当、第二候補としてシウマイ弁当になっている。のぞみ347号臨時列車であったため、新幹線が入線してきた段階で車内清掃が施され、すぐに乗れたため、発車までの約15分間の間に全て食べてしまった。
 熱海を通過すると、静岡県を横断する。

 車窓から見える富士山が実に雄大であった。雲が全くない快晴の空の下で、富士山を見ることができた。
 東海道新幹線で富士山を見るならば、以下のように覚えるといいだろう。

  • 東京から出発する時、富士山がしっかり見られる良い席→E席(いい席)
  • 大阪から出発する時、富士山がしっかり見られるええ席→A席(ええ席)

 ここまではっきり見えることはそうそうないだろう。
 大阪到着したら曇天。天気はちょいと危ういが大丈夫だろう。
 と、東京→大阪へ行く間にさまざまな良いことがあった。コンサートはどうだろうか?

本日のプログラム

yomikyo.or.jp

 昨日と同日のプログラムであったため、同内容であり、全く同じ記事を引用するためご留意されたい。昨日と異なる部分については、下線部を付すことにした。昨日の内容についてはこちら。
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第1楽章:Allegro Ma Non Troppo, Un Poco Maestoso

 冒頭、弦楽器のトレモロとホルンによって開始された。この辺りは通常の演奏とさほど変わりない。やがて盛り上がっていくのだが、強烈な第1主題であることは、変わりないがホールの影響か少々抑えめに聴こえた。しかし、ホルンは相変わらず強烈響いていた。。CDの演奏でも読響のホルンの音色が特徴的であり、顕著に確認できるのであるがすっかり忘れていたようだ。第2主題は非常に穏やかに木管楽器がなでるように奏で、ホルンも柔らかい音色を奏でていた。アクセルロッドの指揮法を見ると、熱い部分は物凄い気迫が伝わるのだが、かなり穏やかで柔らかい動きをすることが多かったように思う。
 展開部に入ると読響の華麗であり、かつ重厚なサウンドが響き渡る。特に、低弦楽器による箇所は、重厚な音色が響き渡り、それに応えるように雄大で迫力あるホルンが応える。見事なフーガとなっていた。
 そして、再現部である。提示部第1主題は物凄い迫力であったが、より激しい再現部は…。いやいや、実に強烈!!!ティンパニの迫力ある音、ハリのあるトランペットの音、それをかき消そうとするホルン、擦り切れそうなチェロの弓!思わず、こちらも歯を食いしばって聴いていた。読響の底力は恐るべし。その後の第2主題は嵐が去ったかのような穏やかな木管楽器の音色が奏でられていた本日も歯を食いしばって聴いていた
 コーダのうち、最終部分も全てを凌駕する圧倒的音量であり、ティンパニとホルンが非常に強烈な音色を響かせていたことが印象的だったアクセルロッドは各楽章の終わりに余韻をもたせるために、曲が終わっても、指揮棒を下ろす時間は長かった

第2楽章:Molto Vivace

 アクセルロッドは実に標準的なテンポで進められていく。第2楽章の冒頭、主部もあまり速くなく、安心感のあるテンポによって進められていた。随所のアクセントは迫力も十分。繰り返しをしていた
 トリオは、快速的テンポ!。ゆっくりとした演奏も好きだが、快速的テンポで穏やかに滑らかに進んでいくのがたまらない。第1楽章では強烈な音色を響かせていたホルンは、穏やかに滑らかに奏でられていた(迫力は十分)。その後、ヴァイオリンが主題を奏でていくのに対して、低弦楽器が少しずつ煽っていくように強い推進力を感じさせた。いつ聴いてもこのトリオが演奏される時間は格別である。
 引き続き、力強い主部が演奏される。

第3楽章:Adagio Molto E Cantabile

 第2楽章と第3楽章の間に新国立歌劇場合唱団とパーカッション奏者の登場。
 第3楽章は結論から先に述べよう。終始一直線のように美しい音楽が奏でられた。ただ迫力だけではない、美しさも必要なのである。
 ヴァイオリンの美しい第1主題はもちろん、チェロ等による第2主題も極めて美しい音色を響かせた。思わず恍惚とするような、そんな空気に包まれた。そして、木管楽器の美しいハーモニーはまさに至高の甘美の音色。暖かく温もりのある演奏が繰り広げられていた。アクセルロッドも指揮棒を持ちつつも、指のみで指揮をすることが多かった。
 そして、4番ホルンのソロ・パートの後の第3変奏も素晴らしく、弦楽器が終始一直線のように滑らかで美しい音色が印象的だった。そこに加わる、木管楽器の完備なハーモニーも素晴らしかった。音楽ってすごいな。
 そして、終盤になるとファンファーレが導入されるが、第1楽章のような迫力さではなく、柔らかく包み込むような音色が響き渡った。しかし、トランペットの伸びやかな音色が印象的だった
 終始美しかった第3楽章は静かに閉じる…。

第4楽章:Presto, "O Freunde, Nicht Diese Tone!", Allegro Assai

 Presto。第1楽章のような迫力ではなく、第3楽章の名残が若干残ったように幕を開けた。そして、低弦楽器のレチタティーヴォが登場するのだが、チェロの音色とコントラバスの重厚な音色がはっきりと聴こえたのだ。この点聴いていて新鮮であった。
 Allegro assai。そして、超有名な主題に入る。重厚な低弦楽器からヴィオラへ。その時のファゴットが甘美で美しい音色を響かせた。そして、ヴァイオリンへと移っていくのだが、どの箇所も非常に美しかった。金管楽器が加わると、天国にいるかのような荘厳な雰囲気に包まれた。ホルン、トランペットが強烈な音色を響かせるのかと思いきや、力まず自然な音色を響かせていた。もっとも、随所に伸びやかなトランペットの音色が響き渡っていた点が非常に印象的である。そして、美しいく迫力ある対位法になる。 
 Presto; Recitativo "O Freunde, nicht diese Töne!"; Allegro assai。再び冒頭の不協和音が鳴らされる。その時に、舞台袖からバスの妻屋秀和先生が舞台袖から駆け上がってきた!登場の仕方に多くの人が驚いていたようだ
 迫力ある声量を響かせる…。ん?え??そう、妻屋先生はパンフレット等に掲載されている写真とは全く違う姿だったのだ。大柄な体型、そして長髪で後で結んでおり、黒縁眼鏡に、顎髭…。そう、ショパン国際ピアノコンクールで第2位の反田恭平先生そっくりだったのだ!まさかの登場シーンに色々と驚かされた。
 そして、途中でテノール、アルト、ソプラノが登場してきた。妻屋先生は手を広げながら歌い、まるでオペラか何かを見ているようだった。新国立歌劇場合唱団は約40人と少人数であったが、素晴らしい歌唱力を響かせていた。通常、女性が担当するアルトを男性である藤木大地先生が担当したのだが、柔らかい高音を響かせていた「男性が担当するとこのように聴こえるのか…」と非常に新鮮であった。
  Allegro assai vivace (alla marcia)テノールの小堀勇介先生が主役となる。可愛らしいピッコロが響き、やがて盛り上がって男声合唱も伴うと迫力が増していった。シンバルやバスドラムも程よい音量であった。
 そして、超有名な合唱部分に入る。本当であれば、物凄い合唱に圧倒される箇所であるが、コロナの関係上人数は削減…。ということで妥協して聴いていたのであるが、それでも十分な迫力であったし、オーケストラも調整されているせいか、合唱をかき消すことなどは一切なかった。トランペット伸びやかな音色もしっかりと聴こえた。
 Andante maestoso。ここで、初めてトロンボーンが登場する。強烈な音ではなく、柔らかく荘厳な音色を響かせていた。男声合唱の後に高らかな女声合唱が加わるのだが、ソプラノのパートが非常に素晴らしく、かつ歌唱力が極めて高かった。ビブラートもしっかりしており、オーケストラの清らかなヴァイオリンも物凄い美しかった。
 Allegro energico e sempre ben marcato引き続いて、荘厳な合唱が奏でられる。やはりソプラノの合唱が極めて美しく、圧倒された随所に登場するホルンも雄大で伸びやかな音色を響かせていたのが印象的であった。このとき、目頭が熱くなった。
 Allegro ma non tanto男声合唱と女声合唱が交互に歌う。もっとも、藤木大地先生である。しかし、全く不自然には聴こえなかった。この場面に限ったことではないが、ソリストは、1対3で男性が多いわけだが、ソプラノの中村恵理先生の歌唱力の高さ!ホールを突き抜けてどこまで響くのかわからないほどの声量には圧倒今日は、アルトの藤木大地先生がすごかった。男性の歌声が美しくホール内を彩った。
 Presto; Prestissimo。いよいよ最終部。テンポは標準的であったが、物凄い迫力と熱量。アクセルロッドも動きが非常に大きくなり、全てを飲み込むかのような壮絶な迫力であった。何よりも一番最後のティンパニのクレッシェンドが極め付けであり、今まで聴いたことのないような力強さで締め括った
 その後、割れんばかりの拍手となった。大阪の方々もハイテンションだったらしく、拍手の音が非常に大きかった

総括

 おかわりして正解!
 そして、ホールの構造の違いが顕著に表れていた。サントリーホールはステージの後にも座席があり(P席)、合唱団の方はP席に配置されていた。一方で、フェスティバルホールはP席のような構造はなく、オーケストラの後に雛壇があり、そこに配置されていた
 サントリーホールの場合は、上から合唱が、下からオーケストラの音色と2層構造となっていたが、フェスティバルホールは一体感となって聴こえてきた。なるほど、ホールの構造によって同じ演奏者でも異なって聴こえるのか、良い勉強になった。
 このようにステージの後に座席がないホールは2018年3月20日東京文化会館以来だろう。

 そして、登場の仕方に定評があった、妻屋秀和先生はかなりリハーサルは入念に行ったようである。


読響4日目はこのようなことも。

 妻屋先生素晴らしかった!!面白いだけでなく、迫力のある歌声、風格はプロそのもの。
 ということで、今年のコンサートはこれにて終了!
 みなさま、良いお年を!

前回のコンサート

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【読響】第648回名曲シリーズ in サントリーホール

Introduction

 2021年12月23日は、第648回名曲シリーズである。 そして、プログラムは、ベートーヴェン交響曲第9番今年2回目の第九である。
 そして、オーケストラは日本屈指のオーケストラ、読売日本交響楽団(以下、「読響」)である。日本のオーケストラ御三家のひとつでもある。
 個人的に読響は高貴なオーケストラという印象がある。その理由として、読響の名誉顧問が高円宮妃久子殿下なのである。海外のオーケストラを見ると、超名門オーケストラであるロンドン交響楽団がその一例と言えよう。ロンドン交響楽団「女王陛下のオーケストラ」として知られ、名誉総裁はエリザベス2世が就いているのである。そして、ロンドン交響楽団の音色は高級感満載で、非常に上品かつ格の高い芸術・音楽なのである。そのようなイメージから、読響も同様のオーケストラであると認識している。実力ももちろん。
 さて、やや特別なオーケストラが漂う読響であるが、2019年9月18日以来すなわち、2年ぶりの読響公演である。そして、今日に至るまで、指揮者が3回変わった(全て、新型コロナウイルスとの政府の入国規制や、水際対策によるもの)。
 フランチェスコ・アンジェリコ→アレホ・ペレス→ジョン・アクセルロッド
 日本では、新型コロナウイルスの状況は良好であるが、世界は依然として厳しい状態であることが示唆される。しかし、よく続けて外国人指揮者を見つけるなぁ…

本日のプログラム

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第1楽章:Allegro Ma Non Troppo, Un Poco Maestoso

 冒頭、弦楽器のトレモロとホルンによって開始された。この辺りは通常の演奏とさほど変わりない。やがて盛り上がっていくのだが、何と強烈な第1主題なんだ!4本のホルンの強烈な音色が一気に私の心を鷲掴みにした。CDの演奏でも読響のホルンの音色が特徴的であり、顕著に確認できるのであるがすっかり忘れていたようだ。そうだ、読響の強烈なホルンがあったのだ。それを楽しみにしないで、第1主題を挑むだなんてなんてことだ。その時私は確信した。「これはとんでもない演奏になる」と、この時点で目頭が熱くなっていた。強烈な幕開けがものすごいインパクトなり、第2主題の記憶があまりない(笑)。ただ、木管楽器の音色は滑らかで美しかった印象があった。アクセルロッドの指揮法を見ると、熱い部分は物凄い気迫が伝わるのだが、かなり穏やかで柔らかい動きをすることが多かったように思う。
 展開部に入ると読響の華麗であり、かつ重厚なサウンドが響き渡る。特に、低弦楽器による箇所は、重厚な音色が響き渡り、それに応えるように雄大で迫力あるホルンが応える。見事なフーガとなっていた。
 そして、再現部である。提示部第1主題は物凄い迫力であったが、より激しい再現部は…。いやいや、実に強烈!!!ティンパニの迫力ある音、ハリのあるトランペットの音、それをかき消そうとするホルン、擦り切れそうなチェロの弓!思わず、こちらも歯を食いしばって聴いていた。読響の底力は恐るべし。その後の第2主題は嵐が去ったかのような穏やかな木管楽器の音色が奏でられていた
 コーダのうち、最終部分も全てを凌駕する圧倒的音量であり、ティンパニとホルンが非常に強烈な音色を響かせていたことが印象的だった

第2楽章:Molto Vivace

 アクセルロッドは実に標準的なテンポで進められていく。第2楽章の冒頭、主部もあまり速くなく、安心感のあるテンポによって進められていた。随所のアクセントは迫力も十分。繰り返しはしたような…してないような…。そこの部分が曖昧であるが、体感的に繰り返しがあったかと思う。
 トリオは、快速的テンポ!。ゆっくりとした演奏も好きだが、快速的テンポで穏やかに滑らかに進んでいくのがたまらない。第1楽章では強烈な音色を響かせていたホルンは、穏やかに滑らかに奏でられていた(迫力は十分)。その後、ヴァイオリンが主題を奏でていくのに対して、低弦楽器が少しずつ煽っていくように強い推進力を感じさせた。いつ聴いてもこのトリオが演奏される時間は格別である。
 引き続き、力強い主部が演奏される。

第3楽章:Adagio Molto E Cantabile

 第2楽章と第3楽章の間に新国立歌劇場合唱団とパーカッション奏者の登場。
 第3楽章は結論から先に述べよう。終始一直線のように美しい音楽が奏でられた。ただ迫力だけではない、美しさも必要なのである。
 ヴァイオリンの美しい第1主題はもちろん、チェロ等による第2主題も極めて美しい音色を響かせた。思わず恍惚とするような、そんな空気に包まれた。そして、木管楽器の美しいハーモニーはまさに至高の甘美の音色。暖かく温もりのある演奏が繰り広げられていた。アクセルロッドも指揮棒を持ちつつも、指のみで指揮をすることが多かった。
 そして、4番ホルンのソロ・パートの後の第3変奏も素晴らしく、弦楽器が終始一直線のように滑らかで美しい音色が印象的だった。そこに加わる、木管楽器の完備なハーモニーも素晴らしかった。音楽ってすごいな。
 そして、終盤になるとファンファーレが導入されるが、第1楽章のような迫力さではなく、柔らかく包み込むような音色が響き渡った。
 終始美しかった第3楽章は静かに閉じる…。くるぞくるぞ…。

第4楽章:Presto, "O Freunde, Nicht Diese Tone!", Allegro Assai

 と思ったら、まさかの小休止。アタッカで演奏されることが多いのに、この点は驚いた。身構えた自分がちょいと恥ずかしい。
 しかし、楽譜にはアタッカで演奏されるような指示はない。アクセルロッドの方が楽譜に忠実的だったものといえよう。
 Presto。第1楽章のような迫力ではなく、第3楽章の名残が若干残ったように幕を開けた。そして、低弦楽器のレチタティーヴォが登場するのだが、チェロの音色とコントラバスの重厚な音色がはっきりと聴こえたのだ。この点聴いていて新鮮であった。
 Allegro assai。そして、超有名な主題に入る。重厚な低弦楽器からヴィオラへ。その時のファゴットが甘美で美しい音色を響かせた。そして、ヴァイオリンへと移っていくのだが、どの箇所も非常に美しかった。金管楽器が加わると、天国にいるかのような荘厳な雰囲気に包まれた。ホルン、トランペットが強烈な音色を響かせるのかと思いきや、力まず自然な音色を響かせていた。もっとも、随所に伸びやかなトランペットの音色が響き渡っていた点が非常に印象的である。そして、美しいく迫力ある対位法になるのだが…
「ちょっと待った!!ソリストがまだ登場していない!!」もう、歌唱パートに入ってしまうのに…。 
 Presto; Recitativo "O Freunde, nicht diese Töne!"; Allegro assai。再び冒頭の不協和音が鳴らされる。その時に、舞台袖からバスの妻屋秀和先生が舞台袖から駆け上がってきた!歌いながら登場させた宇野功芳先生もびっくりだろう。
 迫力ある声量を響かせる…。ん?え??そう、妻屋先生はパンフレット等に掲載されている写真とは全く違う姿だったのだ。大柄な体型、そして長髪で後で結んでおり、黒縁眼鏡に、顎髭…。そう、ショパン国際ピアノコンクールで第2位の反田恭平先生そっくりだったのだ!まさかの登場シーンに色々と驚かされた。
 そして、途中でテノール、アルト、ソプラノが登場してきた。妻屋先生は手を広げながら歌い、まるでオペラか何かを見ているようだった。新国立歌劇場合唱団は約40人と少人数であったが、素晴らしい歌唱力を響かせていた。通常、女性が担当するアルトを男性である藤木大地先生が担当したのだが、柔らかい高音を響かせていた「男性が担当するとこのように聴こえるのか…」と非常に新鮮であった。
  Allegro assai vivace (alla marcia)テノールの小堀勇介先生が主役となる。可愛らしいピッコロが響き、やがて盛り上がって男声合唱も伴うと迫力が増していった。シンバルやバスドラムも程よい音量であった。
 そして、超有名な合唱部分に入る。本当であれば、物凄い合唱に圧倒される箇所であるが、コロナの関係上人数は削減…。ということで妥協して聴いていたのであるが、それでも十分な迫力であったし、オーケストラも調整されているせいか、合唱をかき消すことなどは一切なかった。トランペット伸びやかな音色もしっかりと聴こえた。
 Andante maestoso。ここで、初めてトロンボーンが登場する。強烈な音ではなく、柔らかく荘厳な音色を響かせていた。男声合唱の後に高らかな女声合唱が加わるのだが、ソプラノのパートが非常に素晴らしく、かつ歌唱力が極めて高かった。ビブラートもしっかりしており、オーケストラの清らかなヴァイオリンも物凄い美しかった。
 Allegro energico e sempre ben marcato引き続いて、荘厳な合唱が奏でられる。やはりソプラノの合唱が極めて美しく、圧倒された随所に登場するホルンも雄大で伸びやかな音色を響かせていたのが印象的であった。このとき、目頭が熱くなった。
 Allegro ma non tanto男声合唱と女声合唱が交互に歌う。もっとも、藤木大地先生である。しかし、全く不自然には聴こえなかった。この場面に限ったことではないが、ソリストは、1対3で男性が多いわけだが、ソプラノの中村恵理先生の歌唱力の高さ!ホールを突き抜けてどこまで響くのかわからないほどの声量には圧倒。すごいソリストを招聘したものだ。
 Presto; Prestissimo。いよいよ最終部。テンポは標準的であったが、物凄い迫力と熱量。アクセルロッドも動きが非常に大きくなり、全てを飲み込むかのような壮絶な迫力であった。何よりも一番最後のティンパニのクレッシェンドが極め付けであり、今まで聴いたことのないような力強さで締め括った
 その後、割れんばかりの拍手となった。

総括

 今回のコンサートは、指揮者が3回も変わるということになった。しかし、私は読響の第九を聴きに行きたかったのだ!期待を裏切らない、読響の底力を堪能した。
 もう一度聴きたい!と思っていたが、わかっていたかのように明日、大阪へ行く。
 チケット取っておいてよかった〜

前回のコンサート

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ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調を聴く(その3)

Introduction

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 本演奏は、1951年のバイロイト音楽祭の録音であるが、この演奏については従来から論争があった。いわゆる、旧EMIレーベルより発売された演奏と、バイエルン放送音源の相違である。
 同じ1951年のバイロイト音楽祭についての演奏であるが、聴き比べると全く異なる演奏である。もっとも、第4楽章最終部の爆速はフルトヴェングラーによるものであることについて争いがないと思われる。しかし、随所異なる部分がある
 おそらく、どちらかが本番による演奏であり、どちらかがゲネプロによるものであるというのが従来の論争であった。
 そこで、今回取り上げるスウェーデン放送所蔵音源が従来の論争に決着をつけたのだ!。私の見解では、どちらかが本物であって、新たな音源が発見されたわけではないということだ。
 どちらが本物であるかは、ベートーヴェン交響曲第9番ニ短調を聴く(その4)で明らかにしよう。

ベートーヴェン交響曲第9番ニ短調

ヴィルヘルム・フルヴェングラー:バイロイト祝祭管弦楽団

評価:7 演奏時間:約76分

第1楽章:Allegro Ma Non Troppo

 演奏の前に、ドイツ語、フランス語、英語、スウェーデン語による「1951年バイロイト音楽祭バイエルン放送がリヒャルト・ワーグナー音楽祭(バイロイト音楽祭)のオープニング・コンサートをバイロイト祝祭劇場からドイツ・オーストリア放送、英国放送、フランス放送、ストックホルム放送を通じてお届けします。曲はヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮によるベートーヴェン交響曲第9番です。」という放送が入っている。

 冒頭、ゆっくりとしたテンポによって幕を開ける。そして、ゆったりとしたテンポで大変力強い第1主題が奏でられるフルトヴェングラー独特のテンポによって開始される第1楽章は異様な雰囲気が漂う。ただ、当時の放送をそのまま再現しているせいか、ちょっと音量が小さめ。ボリュームは大きめにしておくことが望ましい。第2主題も引き続き、遅めのテンポでゆっくりと奏でられている。随所にノイズが入っているが止むを得ない。
 展開部に入ると、提示部第1主題の緊迫感が戻ってくる。フルトヴェングラー特有の緊張感、暗さがよくわかる。低減楽器も聴こえるのだが、少々ヴァイオリン等の高音が目立つ印象である。テンポはそこまで速いのだが、独特の異様な雰囲気はフルトヴェングラーならではの空気感に包まれる。
 再現部においては、第1主題において十分な気合いが伝わり、フルトンヴェグラー特有の強烈なクレッシェンドによるティンパニは圧巻の一言。思わずのけぞってしまう。その後の第2主題はゆったりと穏やかに変わる。まるでベートーヴェン交響曲第6番第4楽章→第5楽章へと移り変わるようだ。
 コーダも相当な迫力であり、強烈である。随所ものすごくテンポを落としたりしており、約18分の第1楽章を終える。
 第2楽章まで1分近くあるのだが、それは当時の雰囲気を残すため、カットをしなかったことによる。

第2楽章:Molto Vivace

 冒頭の幕開けはティンパニに穴があくくらいの強烈な音色。ヴァイオリンのアンサンブルが少しバラけている感じもするが…。あまりに気しないでおこう。少しノイズが気になる。繰り返しあり
 トリオは、微妙に少しずつテンポが遅くなっている。フルトヴェングラーの非常にわかりにくいとされる指揮法によって生み出される音楽は、緻密で独特な音色を響かせる。木管楽器の軽やかな音色と、遅いテンポによる重厚感あふれる弦楽器の音色を響かせる。この押し寄せる感じがたまらない。
 そして、主部が戻り、力強い演奏が繰り返される。

第3楽章:Adagio Molto E Cantabile

 冒頭、遅めのテンポで穏やかな木管楽器によって幕を開ける。主題部に入ると、かなりテンポで美しい弦楽器が第1主題を奏でる。「爆速」とのイメージが強いフルトヴェングラーであるが、時には遅い演奏もするのである。実際に、この第3楽章は約19分かけて演奏しているのだ。遅めのテンポによる第3楽章もまた素晴らしい。フルトヴェングラー特有のクレッシェンドがよくわかる。しかし、これだけ遅いと演奏者も大変だろう…。
 遅めのテンポによるアダージョは弦楽器が美しく謳っている
 第3変奏において、8分の12拍子はかなり遅いテンポで進められていく。弦楽器の清らかな音色がしっかりと響き渡っている。遅いテンポだが急がず、音楽に身を預けて聴くべきである。それにしても、かなり遅い(笑)。
 終わりに近づくにつれ、途中金管楽器のファンファーレが登場する。トランペットの張りのある音色もしっかりと確認できる。当時の音色はどのような響きをしていたのだろうか。
 約19分と遅い第3楽章から第4楽章へ。

第4楽章:Presto, Allegro Assai

 Presto。標準的なテンポであるが、トランペットの音色がよく目立つ。低弦のレチタティーヴォが登場するのだが、フルトヴェングラー独特のアゴーギクが冴え渡る
 Allegro assai長い沈黙の後、非常に小さな音でコントラバスとチェロによって超有名な主題が奏でられる。やがて、ファゴットが甘美な音色を響かせる箇所に代わるが、やや弦楽器の音が大きくファゴットの音色が少し小さめになってしまった。しかし、しっかりと聴こえる。そして、金管楽器が加わるのなんとトランペットの高らかな音色が響き渡る。最初の低弦楽器の時から、徐々にテンポが速くなっている。
 Presto; Recitativo "O Freunde, nicht diese Töne!"; Allegro assaiバリトン歌手(オットー・エーデルマン)の登場し、いよ合唱が伴う。古い音源であるものの、しっかりと歌が聴こえる。音が大きい箇所はノイズは全く気にならず、オーケストラと合唱のハーモニーも難なく聴けるのが良い。合唱も相当の気合が入っているようで、熱量が伝わる
  Allegro assai vivace (alla marcia)テノール歌手(ハンス・ホップ)のソロパートは多少速めのテンポである。ノイズによって最初の音はほぼ聴こえない。ピッコロの音からだんだんシンバルの音しか聴こえなくなってくるが止むを得ないだろう(笑)
 非常に複雑で格好良い間奏の後に超有名な箇所に入る。途中、音量が一時的に小さくなる箇所があるが、「これはスウェーデン放送所蔵のマスターテープに起因するものです。中継放送をスウェーデン放送がテープに同時収録している際に起こったと思われ、『BIS』はその音を修正せずそのまま使っています。」とのこと。超有名な合唱箇所はフルトヴェングラーは多少速めのテンポで演奏する。活発的で溌剌とした第九は聴いていて心地よく、元気が湧いてくる。。
 Andante maestosoトロンボーンによって始まる。テープの影響か音量に波があり、荘厳なコーラスの部分はやや迫力がかけてしまった。しかし、相当な声量であることは十分に窺える。ボリューム調節を強いられるのがやや煩いとなってしまう。
 Allegro energico e sempre ben marcato。高らかに歌い上げるソプラノ等、やや速めのテンポで颯爽とかける。個人的にこの箇所ものすごい好きなのであるが、随所ティンパニが入ったりと美しさと力強さが相俟っているのだが、この点についても十分に伝わってくる
 Allegro ma non tanto男声合唱と女声合唱が交互に歌う。テンポは標準的であり、軽やかに演奏される。途中トランペットがやたら目立っている。どうしたんだろう?
 Presto; Prestissimo。いよいよ、最終部である。合唱は相当な声量が出ているのだろう、気迫がものすごい。そして、オーケストラの熱量もものすごいフルトヴェングラーの熱量恐ろしき。そして、注目の一番最後の部分は相変わらずの爆速であり、シンバルがずれてしまっているが、そんなのはお構いなし、超特急で締めくくる

 そして、第九では珍しく、終わってから数秒沈黙があって拍手となっている。ブラボーの嵐が凄まじい。当時の臨場感が伝わってくる。

 さて、フルトヴェングラーの「バイロイトの第九」論争に終止符をつけたといわれる演奏であるが、放送当時をそのまま忠実に収録したようである。そのため、ノイズ等があったりするが、当時のライヴ感よりかは、当時のラジオを聴いてる感覚と表現した方が正確だろう。したがって、音質の面から評価は「7」としたのである。
 最後にも、放送が収録されている。