Symphonikerの音楽鑑賞日記

クラシック音楽を趣味とする早大生

【読響】第648回名曲シリーズ in サントリーホール

Introduction

 2021年12月23日は、第648回名曲シリーズである。 そして、プログラムは、ベートーヴェン交響曲第9番今年2回目の第九である。
 そして、オーケストラは日本屈指のオーケストラ、読売日本交響楽団(以下、「読響」)である。日本のオーケストラ御三家のひとつでもある。
 個人的に読響は高貴なオーケストラという印象がある。その理由として、読響の名誉顧問が高円宮妃久子殿下なのである。海外のオーケストラを見ると、超名門オーケストラであるロンドン交響楽団がその一例と言えよう。ロンドン交響楽団「女王陛下のオーケストラ」として知られ、名誉総裁はエリザベス2世が就いているのである。そして、ロンドン交響楽団の音色は高級感満載で、非常に上品かつ格の高い芸術・音楽なのである。そのようなイメージから、読響も同様のオーケストラであると認識している。実力ももちろん。
 さて、やや特別なオーケストラが漂う読響であるが、2019年9月18日以来すなわち、2年ぶりの読響公演である。そして、今日に至るまで、指揮者が3回変わった(全て、新型コロナウイルスとの政府の入国規制や、水際対策によるもの)。
 フランチェスコ・アンジェリコ→アレホ・ペレス→ジョン・アクセルロッド
 日本では、新型コロナウイルスの状況は良好であるが、世界は依然として厳しい状態であることが示唆される。しかし、よく続けて外国人指揮者を見つけるなぁ…

本日のプログラム

yomikyo.or.jp

第1楽章:Allegro Ma Non Troppo, Un Poco Maestoso

 冒頭、弦楽器のトレモロとホルンによって開始された。この辺りは通常の演奏とさほど変わりない。やがて盛り上がっていくのだが、何と強烈な第1主題なんだ!4本のホルンの強烈な音色が一気に私の心を鷲掴みにした。CDの演奏でも読響のホルンの音色が特徴的であり、顕著に確認できるのであるがすっかり忘れていたようだ。そうだ、読響の強烈なホルンがあったのだ。それを楽しみにしないで、第1主題を挑むだなんてなんてことだ。その時私は確信した。「これはとんでもない演奏になる」と、この時点で目頭が熱くなっていた。強烈な幕開けがものすごいインパクトなり、第2主題の記憶があまりない(笑)。ただ、木管楽器の音色は滑らかで美しかった印象があった。アクセルロッドの指揮法を見ると、熱い部分は物凄い気迫が伝わるのだが、かなり穏やかで柔らかい動きをすることが多かったように思う。
 展開部に入ると読響の華麗であり、かつ重厚なサウンドが響き渡る。特に、低弦楽器による箇所は、重厚な音色が響き渡り、それに応えるように雄大で迫力あるホルンが応える。見事なフーガとなっていた。
 そして、再現部である。提示部第1主題は物凄い迫力であったが、より激しい再現部は…。いやいや、実に強烈!!!ティンパニの迫力ある音、ハリのあるトランペットの音、それをかき消そうとするホルン、擦り切れそうなチェロの弓!思わず、こちらも歯を食いしばって聴いていた。読響の底力は恐るべし。その後の第2主題は嵐が去ったかのような穏やかな木管楽器の音色が奏でられていた
 コーダのうち、最終部分も全てを凌駕する圧倒的音量であり、ティンパニとホルンが非常に強烈な音色を響かせていたことが印象的だった

第2楽章:Molto Vivace

 アクセルロッドは実に標準的なテンポで進められていく。第2楽章の冒頭、主部もあまり速くなく、安心感のあるテンポによって進められていた。随所のアクセントは迫力も十分。繰り返しはしたような…してないような…。そこの部分が曖昧であるが、体感的に繰り返しがあったかと思う。
 トリオは、快速的テンポ!。ゆっくりとした演奏も好きだが、快速的テンポで穏やかに滑らかに進んでいくのがたまらない。第1楽章では強烈な音色を響かせていたホルンは、穏やかに滑らかに奏でられていた(迫力は十分)。その後、ヴァイオリンが主題を奏でていくのに対して、低弦楽器が少しずつ煽っていくように強い推進力を感じさせた。いつ聴いてもこのトリオが演奏される時間は格別である。
 引き続き、力強い主部が演奏される。

第3楽章:Adagio Molto E Cantabile

 第2楽章と第3楽章の間に新国立歌劇場合唱団とパーカッション奏者の登場。
 第3楽章は結論から先に述べよう。終始一直線のように美しい音楽が奏でられた。ただ迫力だけではない、美しさも必要なのである。
 ヴァイオリンの美しい第1主題はもちろん、チェロ等による第2主題も極めて美しい音色を響かせた。思わず恍惚とするような、そんな空気に包まれた。そして、木管楽器の美しいハーモニーはまさに至高の甘美の音色。暖かく温もりのある演奏が繰り広げられていた。アクセルロッドも指揮棒を持ちつつも、指のみで指揮をすることが多かった。
 そして、4番ホルンのソロ・パートの後の第3変奏も素晴らしく、弦楽器が終始一直線のように滑らかで美しい音色が印象的だった。そこに加わる、木管楽器の完備なハーモニーも素晴らしかった。音楽ってすごいな。
 そして、終盤になるとファンファーレが導入されるが、第1楽章のような迫力さではなく、柔らかく包み込むような音色が響き渡った。
 終始美しかった第3楽章は静かに閉じる…。くるぞくるぞ…。

第4楽章:Presto, "O Freunde, Nicht Diese Tone!", Allegro Assai

 と思ったら、まさかの小休止。アタッカで演奏されることが多いのに、この点は驚いた。身構えた自分がちょいと恥ずかしい。
 しかし、楽譜にはアタッカで演奏されるような指示はない。アクセルロッドの方が楽譜に忠実的だったものといえよう。
 Presto。第1楽章のような迫力ではなく、第3楽章の名残が若干残ったように幕を開けた。そして、低弦楽器のレチタティーヴォが登場するのだが、チェロの音色とコントラバスの重厚な音色がはっきりと聴こえたのだ。この点聴いていて新鮮であった。
 Allegro assai。そして、超有名な主題に入る。重厚な低弦楽器からヴィオラへ。その時のファゴットが甘美で美しい音色を響かせた。そして、ヴァイオリンへと移っていくのだが、どの箇所も非常に美しかった。金管楽器が加わると、天国にいるかのような荘厳な雰囲気に包まれた。ホルン、トランペットが強烈な音色を響かせるのかと思いきや、力まず自然な音色を響かせていた。もっとも、随所に伸びやかなトランペットの音色が響き渡っていた点が非常に印象的である。そして、美しいく迫力ある対位法になるのだが…
「ちょっと待った!!ソリストがまだ登場していない!!」もう、歌唱パートに入ってしまうのに…。 
 Presto; Recitativo "O Freunde, nicht diese Töne!"; Allegro assai。再び冒頭の不協和音が鳴らされる。その時に、舞台袖からバスの妻屋秀和先生が舞台袖から駆け上がってきた!歌いながら登場させた宇野功芳先生もびっくりだろう。
 迫力ある声量を響かせる…。ん?え??そう、妻屋先生はパンフレット等に掲載されている写真とは全く違う姿だったのだ。大柄な体型、そして長髪で後で結んでおり、黒縁眼鏡に、顎髭…。そう、ショパン国際ピアノコンクールで第2位の反田恭平先生そっくりだったのだ!まさかの登場シーンに色々と驚かされた。
 そして、途中でテノール、アルト、ソプラノが登場してきた。妻屋先生は手を広げながら歌い、まるでオペラか何かを見ているようだった。新国立歌劇場合唱団は約40人と少人数であったが、素晴らしい歌唱力を響かせていた。通常、女性が担当するアルトを男性である藤木大地先生が担当したのだが、柔らかい高音を響かせていた「男性が担当するとこのように聴こえるのか…」と非常に新鮮であった。
  Allegro assai vivace (alla marcia)テノールの小堀勇介先生が主役となる。可愛らしいピッコロが響き、やがて盛り上がって男声合唱も伴うと迫力が増していった。シンバルやバスドラムも程よい音量であった。
 そして、超有名な合唱部分に入る。本当であれば、物凄い合唱に圧倒される箇所であるが、コロナの関係上人数は削減…。ということで妥協して聴いていたのであるが、それでも十分な迫力であったし、オーケストラも調整されているせいか、合唱をかき消すことなどは一切なかった。トランペット伸びやかな音色もしっかりと聴こえた。
 Andante maestoso。ここで、初めてトロンボーンが登場する。強烈な音ではなく、柔らかく荘厳な音色を響かせていた。男声合唱の後に高らかな女声合唱が加わるのだが、ソプラノのパートが非常に素晴らしく、かつ歌唱力が極めて高かった。ビブラートもしっかりしており、オーケストラの清らかなヴァイオリンも物凄い美しかった。
 Allegro energico e sempre ben marcato引き続いて、荘厳な合唱が奏でられる。やはりソプラノの合唱が極めて美しく、圧倒された随所に登場するホルンも雄大で伸びやかな音色を響かせていたのが印象的であった。このとき、目頭が熱くなった。
 Allegro ma non tanto男声合唱と女声合唱が交互に歌う。もっとも、藤木大地先生である。しかし、全く不自然には聴こえなかった。この場面に限ったことではないが、ソリストは、1対3で男性が多いわけだが、ソプラノの中村恵理先生の歌唱力の高さ!ホールを突き抜けてどこまで響くのかわからないほどの声量には圧倒。すごいソリストを招聘したものだ。
 Presto; Prestissimo。いよいよ最終部。テンポは標準的であったが、物凄い迫力と熱量。アクセルロッドも動きが非常に大きくなり、全てを飲み込むかのような壮絶な迫力であった。何よりも一番最後のティンパニのクレッシェンドが極め付けであり、今まで聴いたことのないような力強さで締め括った
 その後、割れんばかりの拍手となった。

総括

 今回のコンサートは、指揮者が3回も変わるということになった。しかし、私は読響の第九を聴きに行きたかったのだ!期待を裏切らない、読響の底力を堪能した。
 もう一度聴きたい!と思っていたが、わかっていたかのように明日、大阪へ行く。
 チケット取っておいてよかった〜

前回のコンサート

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