Introduction
2021/12/24は、第31回大阪定期演奏会。今年3回目の第九となる。
そして、初めての大阪遠征であり、おかわりでもある。前の記事でも述べたが、大学4年時の私の誕生日に大阪フィルの演奏を聴きに行く予定だったのだが、コロナの関係上断念。そして、年末のわずかな時間を縫って大阪に行くことにしたのである。
プログラムの前に、東京→大阪間での出来事等をまとめておこう。
のぞみ347号新大阪行きに乗って新大阪まで。駅の時計を見る通り、随分と早く東京駅に着いてしまった。実は、東京駅は定期圏内であるため、毎日東京駅近くを歩いている。しかし、東海道新幹線に乗るのは大学3年ゼミ旅行以来となる(コロナ禍前)。なので、東海道新幹線に乗ることが非常に楽しみであったのだ。
長時間新幹線を待っていると…
なんと、ドクターイエローが!!!幸せを運ぶ新幹線を生で見られるとは思わなかった。ホームでもたくさんの子どもがいたのはその理由だったのか。早く着いてなかったら見られなかっただろう。幸先の良いスタート。もっとも、ここで全て使い果たしてしまったのではないか…。
12時18分発ということで、駅弁を買っておいた。もちろん「崎陽軒の炒飯弁当」である!この炒飯弁当はすぐに売り切れてしまうため、競争率が高い。第一候補として炒飯弁当、第二候補としてシウマイ弁当になっている。のぞみ347号は臨時列車であったため、新幹線が入線してきた段階で車内清掃が施され、すぐに乗れたため、発車までの約15分間の間に全て食べてしまった。
熱海を通過すると、静岡県を横断する。
車窓から見える富士山が実に雄大であった。雲が全くない快晴の空の下で、富士山を見ることができた。
東海道新幹線で富士山を見るならば、以下のように覚えるといいだろう。
- 東京から出発する時、富士山がしっかり見られる良い席→E席(いい席)
- 大阪から出発する時、富士山がしっかり見られるええ席→A席(ええ席)
ここまではっきり見えることはそうそうないだろう。
大阪到着したら曇天。天気はちょいと危ういが大丈夫だろう。
と、東京→大阪へ行く間にさまざまな良いことがあった。コンサートはどうだろうか?
本日のプログラム
- ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 作品125「合唱付き」
- ソプラノ:中村恵理
- アルト:藤木大地
- テノール:小堀勇介
- バス:妻屋秀和
- 合唱:新国立劇場合唱団
- 指揮:ジョン・アクセルロッド
- 管弦楽:読売日本交響楽団
昨日と同日のプログラムであったため、同内容であり、全く同じ記事を引用するためご留意されたい。昨日と異なる部分については、下線部を付すことにした。昨日の内容についてはこちら。
law-symphoniker.hatenablog.com
第1楽章:Allegro Ma Non Troppo, Un Poco Maestoso
冒頭、弦楽器のトレモロとホルンによって開始された。この辺りは通常の演奏とさほど変わりない。やがて盛り上がっていくのだが、強烈な第1主題であることは、変わりないがホールの影響か少々抑えめに聴こえた。しかし、ホルンは相変わらず強烈響いていた。。CDの演奏でも読響のホルンの音色が特徴的であり、顕著に確認できるのであるがすっかり忘れていたようだ。第2主題は非常に穏やかに木管楽器がなでるように奏で、ホルンも柔らかい音色を奏でていた。アクセルロッドの指揮法を見ると、熱い部分は物凄い気迫が伝わるのだが、かなり穏やかで柔らかい動きをすることが多かったように思う。
展開部に入ると読響の華麗であり、かつ重厚なサウンドが響き渡る。特に、低弦楽器による箇所は、重厚な音色が響き渡り、それに応えるように雄大で迫力あるホルンが応える。見事なフーガとなっていた。
そして、再現部である。提示部第1主題は物凄い迫力であったが、より激しい再現部は…。いやいや、実に強烈!!!ティンパニの迫力ある音、ハリのあるトランペットの音、それをかき消そうとするホルン、擦り切れそうなチェロの弓!思わず、こちらも歯を食いしばって聴いていた。読響の底力は恐るべし。その後の第2主題は嵐が去ったかのような穏やかな木管楽器の音色が奏でられていた。本日も歯を食いしばって聴いていた。
コーダのうち、最終部分も全てを凌駕する圧倒的音量であり、ティンパニとホルンが非常に強烈な音色を響かせていたことが印象的だった。アクセルロッドは各楽章の終わりに余韻をもたせるために、曲が終わっても、指揮棒を下ろす時間は長かった。
第2楽章:Molto Vivace
アクセルロッドは実に標準的なテンポで進められていく。第2楽章の冒頭、主部もあまり速くなく、安心感のあるテンポによって進められていた。随所のアクセントは迫力も十分。繰り返しをしていた。
トリオは、快速的テンポ!。ゆっくりとした演奏も好きだが、快速的テンポで穏やかに滑らかに進んでいくのがたまらない。第1楽章では強烈な音色を響かせていたホルンは、穏やかに滑らかに奏でられていた(迫力は十分)。その後、ヴァイオリンが主題を奏でていくのに対して、低弦楽器が少しずつ煽っていくように強い推進力を感じさせた。いつ聴いてもこのトリオが演奏される時間は格別である。
引き続き、力強い主部が演奏される。
第3楽章:Adagio Molto E Cantabile
第2楽章と第3楽章の間に新国立歌劇場合唱団とパーカッション奏者の登場。
第3楽章は結論から先に述べよう。終始一直線のように美しい音楽が奏でられた。ただ迫力だけではない、美しさも必要なのである。
ヴァイオリンの美しい第1主題はもちろん、チェロ等による第2主題も極めて美しい音色を響かせた。思わず恍惚とするような、そんな空気に包まれた。そして、木管楽器の美しいハーモニーはまさに至高の甘美の音色。暖かく温もりのある演奏が繰り広げられていた。アクセルロッドも指揮棒を持ちつつも、指のみで指揮をすることが多かった。
そして、4番ホルンのソロ・パートの後の第3変奏も素晴らしく、弦楽器が終始一直線のように滑らかで美しい音色が印象的だった。そこに加わる、木管楽器の完備なハーモニーも素晴らしかった。音楽ってすごいな。
そして、終盤になるとファンファーレが導入されるが、第1楽章のような迫力さではなく、柔らかく包み込むような音色が響き渡った。しかし、トランペットの伸びやかな音色が印象的だった。
終始美しかった第3楽章は静かに閉じる…。
第4楽章:Presto, "O Freunde, Nicht Diese Tone!", Allegro Assai
Presto。第1楽章のような迫力ではなく、第3楽章の名残が若干残ったように幕を開けた。そして、低弦楽器のレチタティーヴォが登場するのだが、チェロの音色とコントラバスの重厚な音色がはっきりと聴こえたのだ。この点聴いていて新鮮であった。
Allegro assai。そして、超有名な主題に入る。重厚な低弦楽器からヴィオラへ。その時のファゴットが甘美で美しい音色を響かせた。そして、ヴァイオリンへと移っていくのだが、どの箇所も非常に美しかった。金管楽器が加わると、天国にいるかのような荘厳な雰囲気に包まれた。ホルン、トランペットが強烈な音色を響かせるのかと思いきや、力まず自然な音色を響かせていた。もっとも、随所に伸びやかなトランペットの音色が響き渡っていた点が非常に印象的である。そして、美しいく迫力ある対位法になる。
Presto; Recitativo "O Freunde, nicht diese Töne!"; Allegro assai。再び冒頭の不協和音が鳴らされる。その時に、舞台袖からバスの妻屋秀和先生が舞台袖から駆け上がってきた!登場の仕方に多くの人が驚いていたようだ。
迫力ある声量を響かせる…。ん?え??そう、妻屋先生はパンフレット等に掲載されている写真とは全く違う姿だったのだ。大柄な体型、そして長髪で後で結んでおり、黒縁眼鏡に、顎髭…。そう、ショパン国際ピアノコンクールで第2位の反田恭平先生そっくりだったのだ!まさかの登場シーンに色々と驚かされた。
そして、途中でテノール、アルト、ソプラノが登場してきた。妻屋先生は手を広げながら歌い、まるでオペラか何かを見ているようだった。新国立歌劇場合唱団は約40人と少人数であったが、素晴らしい歌唱力を響かせていた。通常、女性が担当するアルトを男性である藤木大地先生が担当したのだが、柔らかい高音を響かせていた。「男性が担当するとこのように聴こえるのか…」と非常に新鮮であった。
Allegro assai vivace (alla marcia)。テノールの小堀勇介先生が主役となる。可愛らしいピッコロが響き、やがて盛り上がって男声合唱も伴うと迫力が増していった。シンバルやバスドラムも程よい音量であった。
そして、超有名な合唱部分に入る。本当であれば、物凄い合唱に圧倒される箇所であるが、コロナの関係上人数は削減…。ということで妥協して聴いていたのであるが、それでも十分な迫力であったし、オーケストラも調整されているせいか、合唱をかき消すことなどは一切なかった。トランペット伸びやかな音色もしっかりと聴こえた。
Andante maestoso。ここで、初めてトロンボーンが登場する。強烈な音ではなく、柔らかく荘厳な音色を響かせていた。男声合唱の後に高らかな女声合唱が加わるのだが、ソプラノのパートが非常に素晴らしく、かつ歌唱力が極めて高かった。ビブラートもしっかりしており、オーケストラの清らかなヴァイオリンも物凄い美しかった。
Allegro energico e sempre ben marcato。引き続いて、荘厳な合唱が奏でられる。やはりソプラノの合唱が極めて美しく、圧倒された。随所に登場するホルンも雄大で伸びやかな音色を響かせていたのが印象的であった。このとき、目頭が熱くなった。
Allegro ma non tanto。男声合唱と女声合唱が交互に歌う。もっとも、藤木大地先生である。しかし、全く不自然には聴こえなかった。この場面に限ったことではないが、ソリストは、1対3で男性が多いわけだが、ソプラノの中村恵理先生の歌唱力の高さ!ホールを突き抜けてどこまで響くのかわからないほどの声量には圧倒。今日は、アルトの藤木大地先生がすごかった。男性の歌声が美しくホール内を彩った。。
Presto; Prestissimo。いよいよ最終部。テンポは標準的であったが、物凄い迫力と熱量。アクセルロッドも動きが非常に大きくなり、全てを飲み込むかのような壮絶な迫力であった。何よりも一番最後のティンパニのクレッシェンドが極め付けであり、今まで聴いたことのないような力強さで締め括った。
その後、割れんばかりの拍手となった。大阪の方々もハイテンションだったらしく、拍手の音が非常に大きかった。
総括
おかわりして正解!
そして、ホールの構造の違いが顕著に表れていた。サントリーホールはステージの後にも座席があり(P席)、合唱団の方はP席に配置されていた。一方で、フェスティバルホールはP席のような構造はなく、オーケストラの後に雛壇があり、そこに配置されていた。
サントリーホールの場合は、上から合唱が、下からオーケストラの音色と2層構造となっていたが、フェスティバルホールは一体感となって聴こえてきた。なるほど、ホールの構造によって同じ演奏者でも異なって聴こえるのか、良い勉強になった。
このようにステージの後に座席がないホールは2018年3月20日の東京文化会館以来だろう。
そして、登場の仕方に定評があった、妻屋秀和先生はかなりリハーサルは入念に行ったようである。
おはようございます。
— 妻屋秀和 (Hidekazu Tsumaya) バス歌手 (@htsumaya) December 23, 2021
読響第九最終日の朝です。
既に大阪に向けて出発しました。
7日間で6回のハードスケジュールも今日で終わり。久しぶりの大阪。フェスティバルホールは袖からの距離が長いので今日はホントに走り込んで歌うことになるでしょう。ラストもいつも通り魂込めて歌います!
読響4日目はこのようなことも。
おはようございます。
— 妻屋秀和 (Hidekazu Tsumaya) バス歌手 (@htsumaya) December 21, 2021
読響第九4日目の朝です。後半戦です。
今日と明日はサントリーホールです。
なので、歩数は測り直しです。今日も魂込めて歌います!
#読響 「第九」初日終演。
— 二期会21 (@nikikai21) December 18, 2021
指揮の #ジョン・アクセルロッド 氏のご指示により、今回Bs.#妻屋秀和 がちょっと変わった登場の仕方で注目を集めてます👀
終演後、右から妻屋、T.#小堀勇介 さん、マエストロ、S.#中村恵理 さん、A.#藤木大地 さん。
明日19日(日)も東京芸術劇場にて14時開演です‼️(J ) pic.twitter.com/LVsJ7MQxIH
妻屋先生素晴らしかった!!面白いだけでなく、迫力のある歌声、風格はプロそのもの。
ということで、今年のコンサートはこれにて終了!
みなさま、良いお年を!