鵺翠の音楽の世界と読書の記録

クラシック音楽を趣味とする早大OB

【都響】プロムナードコンサートNo.398 in サントリーホール

introduction

 今回は、都響】プロムナードコンサートNo.398。学部生時代にはよく東京都交響楽団を聴きに行ったのだがここ最近まるっきり聴きに行っていなかった。いつ以来だろう?ということで調べたら、2019年12月24日「都響スペシャル『第九』」(指揮:レオシュ・スワロフスキー)以来のことだそうだ。2年8ヶ月ぶりとなる都響である。とても楽しみな気持ちでいっぱいであるし、やや懐かしい気持ちでいっぱいである。そして、指揮者は、東京都交響楽団終身名誉指揮者小泉和裕先生。これはもう素晴らしい。演奏開始前から素晴らしい演奏が期待できる。
 さて、プログラムは、ドイツのベートヴェンイタリアのレスピーギという構成になっている。大体のプログラムは、ドイツ系やロシア系、アメリカ系とその地の作曲家で構成するものが多いが、これはまた面白い。特に、小泉先生の指揮によるベートーヴェン交響曲第6番へ長調『田園』はかなり豪華な気がする。どのような田園風景が広がるのだろう。とても楽しみである。なお、このベートーヴェン交響曲第6番へ長調『田園』について、非詳細な解説を執筆したので、興味ある方は一読されたい。
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 そして、目玉は最後のレスピーギ交響詩「ローマの松」だろう。この曲はマーラーに匹敵するような豪華で迫力あるフィナーレが待っているのである。渾身の小泉先生に基づく圧倒的フィナーレを期待している。ちなみに、レスピーギはかなり緻密なオーケストレーションを得意としているのだが、指揮者によってはイマイチなフィナーレがある。したがって、どの指揮者がやっても素晴らしいフィナーレになるとは限らないというのが私見である。小泉先生は数々の演奏を凌駕するのではないかという大きな期待を抱いている
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本日のプログラム

www.tmso.or.jp

ベートーヴェン交響曲第6番へ長調『田園』

第1楽章:Allegro Ma Non Troppo

 全体を通して標準的なテンポ。何よりも、久しぶりの都響サウンドを聴いたのだが、驚くほど鮮麗な弦楽器の音色に恍惚となった。そして、第1主題は、師匠カラヤンの演奏とはやや対照的に自然豊かな田園風景を描くような明るく、美しい音色を奏でていた。鮮麗な弦楽器が鳴り響く第1主題は非常に印象的だった。続いて、第2主題は、C-Durでやや重厚感のある音色を奏でながら滑らかに演奏されていた。それを彩るかのように木管楽器の爽やかな音色も非常に印象的。
 そして、師匠カラヤン同様に繰り返しなし。そのまま展開部へ。第1主題を断片的に繰り返す展開部なのであるが、今回は弦楽器がよく鳴っていた印象を受ける。キレのが要求される部分と、滑らかな演奏が要求される部分がある展開部であるが、すべて自然に演奏されていた。力強くも滑らかに指揮をする小泉先生には貫禄が溢れていた。
 再現部では、提示部第1主題ではf(フォルテ)であるのに対して、再現部ではff(フォルテッシモ)になっていることがよくわかる演奏であった。よりいっそ明るさを増していた。そして、第2主題も明るさを増し、力強さが加わった演奏であった
 コーダでは、小泉先生の渾身の指揮法に乗って弦楽器がうねるうねる。そして、徐々に音量を落として第2楽章へ。

第2楽章:Andante Molto Mosso

 小泉先生はカラヤンほどの快速的テンポではなく、自然体でこの曲に臨んでいることが推測できた
 提示部はうねるようなヴァイオリンとチェロの音色が柔らかくし、そして第1主題を清らかで美しいヴァイオリンが彩っていた。その後の、ファゴットとチェロの低音による第2主題も非常に穏やかであった。小泉先生の大らかで包み込むような指揮法から生み出される音楽は素晴らしい音を引き出す。
 展開部では、弦楽器よりも木管楽器が主役となる。弦楽器と同様に木管楽器美しく高らかな音色で鳥の鳴き声を再現するかのようであった。特に、フルートとクラリネットの音色が素晴らしかったのが印象的
 再現部も提示部同様に自然体で落ち着いた音色を響かせていた。
 そして、コーダのフルート・オーボエ・クライネットによる鳥の囀りの再現は、さすが注目すべきところであるから静寂に包まれた。そのなか、見事に鳥の囀りを再現していたのが本当に素晴らしかった

第3楽章:Allegro

 穏やかな第2楽章から一変して、第1楽章のような雰囲気に戻る。冒頭は弦楽器と木管楽器による合奏になるが、第1楽章同様に美しい音色が響き渡った。そして、第3楽章から金管楽器が徐々に活躍していくのだが、相変わらず堂々としたホルンの音色が響き渡った。その後、ホルンは美しく雄大な音色も奏でていた。
 トリオでは、今回頑張っている弦楽器であるがその音量に負けずに高らかなにフルートが鳴り響いており、ハリのあるトランペットの音色も健在しており、各々の楽器の音色が十分に響き渡っていたのが本当に素晴らしかった
 そして驚いたのが、第3楽章も繰り返さなかった。ここまでカラヤンの音楽を継承するとは思わなかった(本当に繰り返さなかった)。
 そして、一気に第4楽章へ。

第4楽章:Allegro

 嵐が来る。ここで小泉先生の指揮も慎重かつ緊張感が伝わった
 弦楽器の音色も非常に繊細な響きをしていた。そして、随時、G音が鳴り響くのだがその迫力も素晴らしかった。そして、頂点部になるとピッコロの音色が響き渡る部分がある。大体は他の楽器にかき消されてしまうのだが、今回はしっかりとピッコロの音色が響き渡っており、驚きと共に圧倒された。やはりそうでなければならない。
 そして、圧倒的な頂点部を形成した後、一気に落ち着いた雰囲気となり、第5楽章へ入る準備へ移った。
 あれだけ緊張感のあった弦楽器が今度は美しく、木管楽器も美しく奏でられていた。

第5楽章:Allegretto

 そして、クラリネットとホルンが穏やかで柔らかい音色で第5楽章をあける。提示部は、第1楽章と同様に、ヴァイオリンが鮮麗な音色で第1主題を奏でていく。そして、第2ヴァイオリン→ホルンと第1主題を奏でていくのだが、ヴァイオリンのトレモロと共に雄大なホルンの音色が響き渡った経過句のチェロとヴァイオリンの音色も重厚感のある音色を響かせながら素晴らしい音色を奏でていた。第2主題のハ長調のクレッシェンドも自然な強弱で自然体を貫いていた。
 展開部に入ると、第1主題が主に扱われるが、鮮麗な音色を響かせる弦楽器と自然体で穏やかな音色を奏でる木管楽器が非常に印象的だった
 再現部は変則的な第1主題が奏でられる。小泉先生の指揮では非常にはっきりとヴァイオリンの音色がはっきり聴こえ、滑らかな音色ながら非常に美しく、壮大なハーモニーが響き渡った。素晴らしい時間だった。その後の経過句も重厚感ある音色が響き渡っていた。
 そして、長いコーダに入る。基本的に静寂な雰囲気であるが頂点部が2度ある。そこでは、鮮麗な音色を響かせる弦楽器のトレモロが溢れんばかりに壮大に奏でられており、その中でチェロ等の低弦楽器が重厚感ある音色を響かせていた
 その後も美しい音楽が続いており、優しく終了した。
クレッシェンドも自然な強弱である。

レスピーギ交響詩「ローマの噴水」

第1部:夜明けのジュリアの谷の噴水 - La Fontane Di Valle Giulia All'albe

 ヴァイオリンの繊細な弦楽器の音色が響く中、穏やかで美しい木管楽器オーボエ)が奏でられる。まさに「夜明け」を再現しているようだ。それにしても、久しぶりの都響だったが、木管楽器がより一層美しい音色が奏でられているようになっていたように思う。この不思議が主題が様々な楽器で繰り返されるのだが、ピッコロの音色も耳が痛くならない音色で素晴らしかった
 そして、この部はオーボエが大活躍する。

第2部:朝のトリトンの噴水 - La Fontane Di Tritone Al Mattino

 第2部は強烈なホルンのファンファーレで幕を開ける。朝にしてはやや荒々しい雰囲気もしないまでもないが…。
 それにしても、相変わらずの堂々たる都響のホルンであった。やや行進曲的で勇ましい雰囲気のある第2部である。木管楽器の軽快な音色が非常に印象的だった。後半部になると徐々に盛り上がっていき、シンバルが撃たれるのだが、個人的に久しぶりのシンバルのような気がする。

第3部:真昼のトレヴィの泉 - La Fontane Di Trevi Al Meriggio

 そして、4部の中で最も頂点部を形成する第3部。小泉先生の堂々たる指揮から生み出される音は凄まじいものであり、トランペットの音色が非常に迫力のある音色が響き渡っていた。唸る弦楽器が、大海原のような壮大さであり、圧倒的なスケールの大きさに圧倒された
 シンバルのクレッシェンドが非常に素晴らしかった。

第4部:黄昏のメディチ荘の噴水 -La Fontane Di Villa Medici Al Tramonto

 第3部から一気に落ち着いた雰囲気へ一変。第4部ではハープとチェレスタの音色が良く聴こえてくる。繊細な音楽となるのだが、木管楽器の穏やかさが本当に素晴らしい音色であり、フルートも非常に美しかった
 そして、静寂な中で弦楽器がメインとなる。繊細な音色で響き渡るヴァイオリンの音色は非常に神秘的だった
 黄昏のように静かに終わる。

レスピーギ交響詩「ローマの松」

第1部:ボルゲーゼ荘の松 - I pini di Villa Borghese

 煌びやかなオーケストレーションによって幕を開ける。トランペット、木管楽器、そして数々のパーカッションの音色がそれぞれ輝いているように聴こえた。第1部が「ローマの松」の中で最も明るく楽しい雰囲気の曲である。
 木管楽器が冴え渡っており、見事な第1部を彩った

第2部:カタコンバ付近の松 - Pini presso una catacomba

 明るい第1部とは対照的。緊張感のある中、ホルンが低音で主題を奏でいった。重々しい主題を奏でるなか、フルートとファゴットがその緊張を和らげるかのように穏やかな音色を奏でいてた。その後、トランペットのソロ・パートがある。どうやって演奏するのか?と思っていたが、本当に舞台裏で演奏されており、演奏者が出入りするステージの扉が開いて、そこから演奏されていた。出だしが怪しかったが、高音も非常に伸びやかな音色が響き渡っていた。
 その後、頂点部に入るのだが、じわじわとくる低音の主題がたまらない。頂点に達すると、圧倒的な金管楽器よりも上回るほどの唸りまくる弦楽器の主題の音色に驚愕トロンボーンの音色がかき消され気味だった。しかし、その後のホルンの雄大な音色はさすがのひと言であり、都響らしいサウンドが鳴り響いていた

第3部:ジャニコロの松 - I pini del Gianicolo

 そして、ピアノが美しい音色を響かせた後、美しいクラリネットのソロ・パートとなる。今日の都響木管楽器が本当に素晴らしかった。弦楽器ももちろんだが、甘美な音色が響き渡り、本当に美しい音色であり、第3部ではこれが聴きたかったのである。
 途中弦楽器のソロ・パートがあるのだが、コンサートマスターの矢部先生の美しい音色が際立っていた。そして、厚みのある美しい弦楽器が非常に印象的。頂点部の弦楽器のハーモニーはまさに、「美音のシャワーを浴びる」という表現が相応しいであろう
 頂点部が過ぎると、冒頭の美しいクラリネットのソロ・パートとなる。そこで、「夜鶯の鳴き声」が聴こえる箇所になるのだが、2階席の方から聴こえた気がするN響の時はステージ上に蓄音機があったのだが、今回はそれがなかったのでどこから演奏されるのかわからなかった。この「夜鶯の鳴き声」が流れた時、ステージの照明が少し明るくなったような気がするのは気のせいか

第4部:アッピア街道の松 - I pini della Via Appia

 そして、重々しい行進が始まる。チェロとコントラバスによる低弦楽器がリズムを刻んていく上で、木管楽器が主題を奏でる。いつ聴いてもワクワクするもんだ。(おそらく、コーラングレか)のパートが終了したら、いよいよクライマックスに入る。ホルンが低音ながらに主題を奏で、その後のトランペットはバンダから奏でられており、ハリのある音色が届いた。2回目のトランペットも反対側の場所からバンダが奏でられいた。
 そして、圧倒的なフィナーレ!!小泉先生の渾身の指揮によって生み出される音は数々の演奏を凌駕するほどの圧倒的な音色が響き渡る。そして、都響サウンドもいえる、強烈な金管楽器が鳴り響いておりハリのあるトランペットの音色、金管楽器全ての楽器の音色が響き渡っていた。小泉先生の堂々たる指揮も凄まじいものだった。パーカッションも素晴らしく、バスドラムが徐々に強く打たれるのも何か凄まじいものが襲いかかってくるようなものであった
 小泉先生の圧倒的な演奏によって締め括った。本当に素晴らしかった。

総括

 上記の通り、私にとって都響2年8ヶ月ぶりとなる都響である。そして、小泉先生だったせいかわからないが、かつて知っていた都響とはやや異なる音色が響き渡っていた。大迫力のサウンド(今回ももちろん迫力満点)に加え、より格式高い音色になっていたように思う。そして、弦楽器と木管楽器の音色がさらに磨かれており、美しい音色が広がっていた
 何よりも、個人的に東京都交響楽団終身名誉指揮者小泉和裕先生の式による、ベートーヴェン交響曲を聴くことができたことが嬉しい。なによりも、小泉先生でベートーヴェン交響曲を聴きたかったのである。さらに、大迫力の演奏に惹かれて好きになったレスピーギ交響詩「ローマの松」も、一度生で聴いてみたかったのである。それを小泉先生の指揮で聴けるのだから私にとってこの上ないほどのプログラムであり、大満足であった。
 以下、東京都交響楽団の公式インスタ・twitterから本日の演奏等について埋め込んでおく。

 本当に素晴らしいコンサートだった。小泉先生これからもお元気で。

前回のコンサート

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青春18きっぷの旅(第2弾)

Introduction

 さてさて、青春18きっぷの旅(第2弾)といこう。
 第1弾では、東北の旅を綴った
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 第2弾は、モグラ駅として有名な土合駅へ。令和4年9日10日が有効期限であるため、今回は2人で行った。したがって、1日で2回分の使用となる。
 ※9月3日に行ったことから、下記の時刻等は土休日ダイヤであることに注意されたい。

東京→高崎

3922E 快速アーバン:東京(9:21)→高崎(11:13)

Wikipediaより拝借)
 乗車車両は、E233系3000番台。なぜだろう、個人的には、E231系1000番台(近郊タイプ)より、E233系3000番台が来るとテンションが上がる。やはり、静かな点だろうか。
 もっとも、E231系1000番台の爆走音も好きである。
 この、快速アーバンは、高崎線内の快速列車であり、湘南新宿ライン等の「快速・特別快速」とはやや異なる。北本駅が停車するか否かが異なり、快速アーバンは、北本駅を通過する。そして、この乗車した列車は、小田原(7:55発)→高崎(11:13着)というかなりの長距離を走る列車である。
 そして、高崎到着後、下記の上越線に乗車するまで時間があったため、高崎駅内にあるフードコートに入り、「ラッキー食堂 ぐんま軒 」にて、モツ煮定食を食べた。非常に美味しかったので、オススメ。
tabelog.com

高崎→水上

733M 普通水上行き:高崎(12:02)→水上(13:08)

 これより上越線に入る。高崎以北のローカル線は、211系がまだ走行している。乗車車両は211系3000番台。お昼ご飯を食べた後ということもあり、途中よく寝ていた記憶がある。
 群馬総社を過ぎると、各駅の所要時間が5分〜7分弱かかり、駅間の間隔があくため、なかなか次の駅が遠い。終点の水上に着く頃はかなり眠たかった。

水上→土合

1739M 普通長岡行き:水上(13:40)→土合(13:48)

 群馬県新潟県の県境である清水トンネル内に向かう。乗車車両は新型車両のE129系。終点の長岡まで走行する。
 この区間は電車の本数が少なく、この13:40を逃すと、17:40まで電車がない。時刻表をよく確認した上で乗車しなければならない。
 そして、土合駅に着く。

土合駅


 土合駅に到着!
 到着した途端、寒い高原にいるかのような寒気に放り出されたような感覚になるほど寒い土合駅の一つ手前の湯檜曽駅も下り方面のみ、トンネル内に駅がある。

 土合駅のホームは以下のような感じ。
 下り方面(土樽・越後湯沢・長岡)

 上り方面(水上・高崎・上野)

 なんと言っても、土合駅といえばこの長い長い長い階段である。

 頂上まで、462段の階段がある。のらくろもしっかり頂上を見ている。

100段目


200段目



300段目


400段目


462段目


 徐々に頂上が大きくなり、徐々にホームが遠下がって見えてくる。非常に壮観であった。

 462段目を登り終えると、改札方面に向かう途中に時代を感じる通路があった。この下は、国道291号線が通っている。

土合駅駅舎
 改修工事のため全体を見ることはできず…。

 結構車で観光する方が多かったようで。

土合→水上

1736M 普通水上行き:土合(15:34)→水上(15:48)
 目的地に達成したので、そのまま帰路へ。乗車車両は新型車両のE129系
 上り方面の土合駅は、地上にある。

 ホームの端にはかつては線路があったであろうと推測できる跡があり、昔は1面2線のホームであったことがここで窺える

水上→高崎

744M 普通高崎行き:水上(15:53)→高崎(16:56)
 乗車車両は211系3000番台。乗車した当日、高崎で花火大会が開催される日であったためか、高崎へ近づくにつれて多くの高校生が乗車してきて満員電車の状態だった。その夜は、高崎駅で入場規制が行われたとか。

高崎→横浜

2853Y (湘南新宿ライン)快速平塚行き:高崎(17:12)→横浜(19:41 

Wikipediaより拝借)
 湘南新宿ラインで横浜へ。乗車車両は、E231系1000番台。高崎から横浜と長距離を移動するため、グリーン車に乗って横浜へ移動。
 ホリデーだと、グリーン車1000円→800円となり、長距離になればなるほどお得になるのが、グリーン車の魅力である。
 途中籠原で、15両編成として運転。
 横浜到着からは、みなとみらい線に乗ってみなとみらいへ。


 何度かこの「みなとみらい」に訪れたことがあるのだが、いつきても夜景が美しく、近未来的で私が好きな場所でもある。
 みなとみらいから横浜駅まで歩いて、青春18きっぷの旅(第2弾)は終了。

 近日中に、青春18きっぷの旅(最終回)も投稿する予定である。お楽しみに。

青春18きっぷの旅(第1弾)

introduction

 いつもクラシック音楽のこと書いているが、ちょっと全く違うことを書いてみることにした。
 実は、クラシック音楽以外にもたくさんの趣味を持っており、鉄道に乗ることも好きである(通称乗り鉄。そして、春学期の成績で再試験が一度もなかったので、少し遊べる時間があったので青春18きっぷを使って旅に出ることにしたのだ。ずっと青春18きっぷを使ってどこかへ出かけようと思っていたのだが、やっと行く機会を設けることができたのだ。
 早速どこかへ出かけようと考えていたのだが、未だかつて東北行ったことがないので東北へ行こうとした。そして、時刻表を購入して眺めていたところ、東北本線に目がついたので東北本線に乗る旅を企てたのだ。

1日目

上野→宇都宮

527M 普通宇都宮行き:上野(6:08)→宇都宮(7:51)


 私の自宅の最寄り駅からすると、上野発はこの6時8分発。乗車車両は、E231系1000番台。そういえば、ドア上の行き先表示が1段しかなかった車両であったため、製造年を確認したら、平成14年製造とのこと。もう20歳を超えた車両に乗車して宇都宮まで向かった。車両編成は、上野から終点宇都宮まで10両編成だった。
 なお、東北本線(以下、「宇都宮線」という)上野発は、5時10分発(普通宇都宮行き)。
 下り方面ということもあって、ぎゅうぎゅう詰めになるような満員電車とはならなかったが、通勤通学の方でたくさんだった。

宇都宮→黒磯

637M 普通黒磯行き:宇都宮(8:02)→黒磯(8:58)




 宇都宮は以前行ったことあるが、宇都宮より北には行ったことがない。この時点で、未知の領域に入る。乗車車両は、E131系600番台2021年に導入された最新型の車両である。
 少し前までは、宇都宮から黒磯まで直通する運用が多くあったが、宇都宮〜黒磯間を分離させる目的で今年のダイヤ改正で消滅した。一時期、上野東京ラインが開通し、熱海発黒磯行きの普通列車があったことはもう昔の話。

黒磯→新白河

4129M 普通新白河行き:黒磯(9:08)→新白河(9:32)



 ここからは交流区間となり、乗車車両もE531系3000番台が運用に入っている。この車両は、交流区間も直流区間も両方走れる交直流列車であり、常磐線でも運用されている。
 黒磯〜新白河間の間にある豊原ー白坂栃木県と福島県の境である。
 そして、新白河に到着し、のらくろと私は真紅の大優勝旗と共に、白河の関を超えたわけである。

新白河→郡山

2129M 普通郡山行き:新白河(9:52)→郡山(10:31)


 新白河では、電車は約1時間に一本しかない。しかし、接続がしっかりとしていたので約30分間待って郡山行きに乗ることができた。
 新白河〜郡山は約40分であったがさほど遠い印象は受けなかった。乗車車両は、701系4両編成。東北地方では、この車両にたくさんお世話になることになる。

郡山→福島

1131M 普通福島行き:郡山(10:41)→福島(11:26)


 乗り継いで、福島行きに乗車。使用車両は、701系4両編成。701系ロングシートであるので、そろそろキツくなってくる。
 福島から山形へ山形線に乗って山形へ行き、そこから仙山線に乗って仙台に行かれるのだが、東北本線に乗って仙台へ向かう。

福島→白石

1177M 普通白石行き:福島(11:40)→白石(12:15)
 福島久しぶりのワンマン列車だった。「白石」は「しらいし」ではなく「しろいし」と読む。乗車車両は、701系2両編成。
 そこそこの乗客数が乗っており、多くの人が終点まで同じだった。

白石→仙台

445M 普通仙台行き:白石(12:19)→仙台(13:08)
 白石から仙台行きに乗車。乗車車両は、E721系0番台4両編成。

E721系0番台(Wikipediaより拝借)

 ここで、はじめてボックスシートに乗ることができた。福島県内は全てクロスシートであったため、しんどい状況だった。


 そして、仙台に到着!!!東北を代表する駅ということもあり、かなり大きい駅だった。のらくろもご満悦!
 仙台駅で途中下車をし、「牛タン」を食べに仙台駅構内にある牛タン通りへ




 入ったお店は「伊達の牛たん本舗」。頂いたのは、牛タン定食。味は、塩味・味噌味等選べるのだが、やや迷った挙句、「塩味」を注文!多分正解だったと思われる。
 以前「牛タン弁当」を食べたことがあるのだが、固いという印象があり、ややマイナス的な印象があったが、今回のでその印象は完全に払拭された非常に柔らかく、お肉の旨味が口の中に広がり、自然と口角が上がるような美味しさであった。一部筋があるところは止むを得ないが、噛むたびに美味しさが湧き出るようなそんな感覚だった。付け合わせの漬物のうち、南蛮味噌漬けがかなりの辛さに驚いた。あまり辛いのは得意ではなかったが、とても良いアクセントになった。テールスープもネギが良いアクセントであり、幸福感に包まれた。
 なお、定食注文の場合、ご飯のおかわりが自由というのも非常に大きなポイント(もちろん、お代わりした)
お店→tabelog.com

仙台→松島海岸

1421S 普通石巻行き:仙台(14:29)→松島海岸(15:09)

 仙台で美味しい牛タンをご馳走になった後、松島へ向かうことにした。そこで、仙石線に乗車し、松島海岸駅へ。乗車車両は、205系3100番台4両編成。205系は、あの山手線や南武線を走っていたお下がりであり、東京の顔となった車両(なおかつ、国鉄車)が未だに仙石線で現役で走っているのはどこか感慨深いところがある。どこか懐かしい走行音がした
 途中緊急停車があったものの、30分ほどで松島海岸駅へ到着。
 





 のらくろが松島の様子をご案内。twitterのフォロワーさんから「ずんだシェイク」をお薦めされたので購入。あまり豆はそこまで得意ではなかったが、非常に飲みやすく、適度に豆の味が感じられた非常に美味しかったので松島のリベンジの時にもう一度飲むことにしたいと思う。
 生憎、行った当初の松島は、霧が凄くて遠くの景色があまり見えなかった。


 途中、瑞巌寺に参拝しに行った。御朱印も私の一つの趣味であり、近辺に神社仏閣があると参拝するのが旅行した際の一つの慣例行事と化している。長い長い参道が印象的。

 そして、御朱印も頂いてきた。
www.zuiganji.or.jp

高城町石巻

1621S 普通石巻行き:高城町(17:09)→石巻(17:49)





 JR東北本線松島駅から乗車しようと思ったが、本数の問題もあって高城町へ向かうことにした。乗車車両は、仙石線であるため、205系3100番台4両編成。40分という乗車時間であるにも関わらず、だいぶ遠い印象を受けた。下校という時間もあり、多くの高校生が乗車した(多分松島高校生の生徒さん)。
 終点石巻についた時に、仮面ライダーがいたのだ!!のらくろも一緒に。

石巻→小牛田

1644D 普通小牛田行き:石巻(18:31)→小牛田(19:10)

キハ110系(Wikipediaより拝借)

 これより石巻線に乗って、東北本線に戻る。乗車車両はキハ110系(確か)2両編成。
 何年ぶりに気動車に乗ったことか。轟音を上げるディーゼルエンジンの音を共に、結構揺れる車両に揺られながら小牛田へ向かう。
 上記写真は、石巻駅。途中、陽が落ちて辺りは真っ暗位になった。

小牛田→一ノ関

563M 普通一ノ関行き:小牛田(20:10)→一ノ関(20:56)


 小牛田駅に到着。あたりには何もない…。小牛田からの乗車車両は、701系2両編成。ここでもワンマン電車。小牛田〜一ノ関間も辺りは真っ暗であり、随時鳴らされる警笛のみが響き渡る。

一ノ関→盛岡

1555M 普通盛岡行き:一ノ関(21:17)→盛岡(22:46)




 一ノ関駅に到着。いよいよ、東北本線の終端駅へ向かう。乗車車両は、701系2両編成。同じ701系だが、帯の色が紫色になっており、盛岡地区を走る帯である。
 この区間が一番キツかった!!!新白河から仙台までの間は、何回か乗り継いで行ったので、そこまで遠い感覚はなかった。しかし、一ノ関〜盛岡は乗り継がないで1本で盛岡に行かれるのだが、約90分間乗車することになり続ける。当然のことながら、辺りは真っ暗でどこ走っているか分からないし、距離感も全くわからないので、次の駅が非常に遠かった感覚だった。徐々に乗客が少なくなり、聞こえてくるのは走行音と警笛の音だけ。少し寂しさと恐ろしさが併存する感覚に陥った。
 盛岡の一駅手前の仙北町駅を発車した後、やっと盛岡に着くという感動に包まれた記憶がある。ものすごい達成感に浸された。




 そして、盛岡に到着!!長かった…。
 乗車した、一ノ関→盛岡はすでに最終列車であった。

2日目

盛岡→平泉

1528M 普通一ノ関行き:盛岡(7:15)→平泉(8:40)


 2日目は、世界遺産に登録された平泉へ向かう。1日目と全く同じ路線を逆戻りする形になる。乗車車両は、701系2両編成
 平泉駅から中尊寺までは徒歩で約20分程度であるが、これが意外と遠い。しかも、当時霧雨の状態であり、非常に湿度が高かったので汗びっしょりの状態で中尊寺へ向かった。もし、駅から中尊寺へ行かれる場合はタクシーの利用を推奨する。
 そして、中尊寺に到着。



 中尊寺の山門から本堂・金色堂までが非常に大変な道のりである。まず、階段が欲しいほどの急な坂道を登る必要がある。そして、金色堂へ到着。金色堂は言葉を失うほどの美しさと荘厳さであり、「凄い」のコメントの言葉を失う。実に素晴らしいものであり、東北の観光の際は一度よるべきではなかろうか。

 そして、これが金色堂御朱印である。
 帰路の途中に「弁慶堂」と呼ばれるものがあり、そこでも御朱印をいただくことができる。

 これは横書きの御朱印である。なお、弁慶堂の御朱印は書置のみであり、必ず手許の御朱印帳に貼るべきである。
www.chusonji.or.jp

平泉→一ノ関

1532M 普通一ノ関行き:平泉(10:24)→一ノ関(10:31)



 十分に中尊寺を堪能した後、一ノ関へ向かう。乗車車両は、701系2両編成。ここで、昼ごはんを購入。後の仙台駅の乗り換えが忙しく昼食を食べている時間がなかったのである。
 平泉と一ノ関の間に山ノ目駅があるのだが、どこかで見覚えのある駅名であった。確か、うちの大学で…。

一ノ関→小牛田

544M 普通一ノ関行き:一ノ関(10:39)→小牛田(11:27)
 そして、一ノ関から小牛田へ向かう。 701系2両編成。ここでもワンマン電車。
 田園風景が広がる田舎の風景を颯爽と走行。

小牛田→仙台

2538M 小牛田(11:47)→仙台(12:34)

 そして、小牛田→仙台を乗車。乗車車両は、E721系0番台4両編成。そして、この区間を乗車すれば、東北本線を全て走破することになる。このE721系0番台ボックスシートであるため、車窓を撮影することができた。
streamable.com
 上記動画は、松島〜塩釜区間の動画である。仙石線と並走し、陸前浜田東塩釜駅区間でもこの風景を見ることができる。松島らしい風景であるものといえよう。

仙台→原ノ町

240M 普通原ノ町行き:仙台(12:40)→原ノ町(13:59)
 これより、常磐線に入る。常磐線といえば、2020年3月14日、富岡〜浪江間(20.8キロ)で運転を再開し、9年ぶりに全線開通であろう。701系4両編成。
 常磐線は、「本線」を名乗らないJR線の中では、最も長い路線である。岩沼までは東北本線と共同して走行するが、岩沼で別れる。この東北本線は日暮里で合流し、上野で再び再開する。
 約1時間超で終点の原ノ町に到着。

原ノ町→水戸

678M 普通水戸行き:原ノ町(14:08)→水戸(17:21)


 ここから、一気に水戸へ向かう。乗車車両は、E531系3000番台5両編成。原ノ町〜水戸は約171にも及ぶ。約3時間20分もの超長時間乗車となる。上記写真はいわき駅
 沿線にはたくさんの高校があり、ちょうど下校時間と重なる関係で多くの高校生が乗車してきた。そして、広野〜久ノ浜・勿来〜高萩では、車窓から太平洋が見えた。大海原を眺めるのもまた旅情を嗜む一つの要素である。

水戸→上野

434M 快速上野行き:水戸(17:34)→上野(19:46)
 そして、いよいよ東京へ向かう。乗車車両は、E53110両編成(土浦から15両編成)。この時点で多くの学生や通勤客で車内が混雑していた。

 連結作業を行う土浦駅ゲリラ豪雨に遭遇。雷雨がひどく、落雷によって周辺の施設が一気に停電になった。落雷によって停電になったのは何年振りのことか…。しかし、駅や電車は停電にはならなかった。
 その後、何事もなく発車し、上野へ向かう。


 そして、激混むとうの混雑することなく終点の上野に到着!!徐々に聴き馴染みのある発車メロディーATOS放送が聴こえてくるといよいよ東京に戻ってきたという実感が湧く
 もう少し先伸ばして東京へ向かう。

上野→東京

1988H 快速品川行き:上野(19:52)→東京(19:57)


 終点の東京に到着!!長かった…。
 朝の7時15分に盛岡を出発し、最終の東京に到着したのは19時57分。約12時間の旅を終えたわけである。
 その数日後にとある場所にも行ったので、青春18きっぷの旅(第2弾)も投稿する予定である。

【東響】第701回:定期演奏会 in サントリーホール

introduction

 本日は、【東響】第701回:定期演奏会である。これほど楽しみにしていた日はないと言っても過言ではないだろう。なんと言ってもマーラー交響曲第5番である。私がそこまで推す理由は以下の記事を参照されたい。
law-symphoniker.hatenablog.com
 そして、多くの聴衆を虜にしたノット先生と東京交響楽団という素晴らしいコンビによってこの壮大な名曲を演奏するのである。したがって、令和4年7月16日この日をずっと楽しみに過ごしていたのである。
 もっとも、私事ながらこの定期演奏会に行くことに躊躇したのである。その理由は今月末に控えている期末試験があるからだ。しかも、来週の木曜日から始まり、必修科目の試験科目はちょうど1週間後に控えている(時間割が発表されるのは7月上旬)。しかし、このコンサートはこの日しかなく、行かなければものすごく後悔するだろうということで思い切っていくことにした。
 さて、話を変えてこのノット先生に対する期待は非常に大きい。このマーラー交響曲第7番の演奏が非常に素晴らしかったからだ。

www.youtube.com
 この5番もまたYouTubeでアップされるのだろうか…。しかし、耳で聴くのと体で聴く音楽は別格のものがある。
 他にもラヴェル:海原の小舟(管弦楽版)ー鏡より」は、静かな海が想像できる美しい音楽である。屈指の美しさの音色を響かせる東響はどのような演奏になるのか、美しさなのかとても楽しみである。
 「ベルク:7つの初期の歌」は新ウィーン楽派時期に作曲された。無調音楽および十二音技法を開拓し、クラシック音楽の分野において現代音楽と呼ばれている時代や様式の区分に、最も重要なかかわりを持ち、アーノルド・シェーンベルクアントン・ヴェーベルン、と並び、アルバン・ベルクもそのうちの一人である(シェーンベルクの弟子)。聴くところ、無調音楽っぽいが、ベルクは12音技法の中にも調整和音を取り入れるため、そこまで無調っぽくはないのが特徴である
 なお、本曲についての演奏や解説が乏しいため、東響の雑誌の解説に依拠する。

本日のプログラム

ラヴェル:海原の小舟(管弦楽版)ー鏡より

 いかにも印象主義の時代に作曲されたものであることがわかる。音が鳴り始めた瞬間に静寂で穏やかな海が浮かんだ。ノット先生のしなやかなタクトから生み出される音色は穏やかな大海原を再現した。時折くる大きなクレッシェンドは波を再現しているのだろう。小さくて穏やかな小舟はこの大きな波によって揺られるのだろう。
 ノット先生も穏やかな表情が横から伺うことができた。美しい東響サウンドの波に揺られながら心地よい音楽が広がった

ベルク:7つの初期の歌

夜(Nacht)

 冒頭やや不穏な音色で始まる。しかし、どことなくリヒャルト・シュトラウス『4つの最後の歌』に類似しているような気がする。
 ソプラノのユリア・クライターは、東響の音色と見事に調和されていて、一人歩きすることなく素晴らしい歌声だった

葦の歌(Schilflied)

 無調的な作品だから不穏感は払拭されない。この「葦の歌」ではヴァイオリン・ソロが登場し、コンマス水谷先生が繊細で美しい音色を響かせた

夜鳴きうぐいす(Die Nachtigall)

 「夜鳴きうぐいす」は、前2曲と異なり、非常に後期ロマン派音楽を連想させる美しく壮大な場面である。ユリア・クライターの素晴らしい歌声と、美しい音色の東響サウンドの相乗効果によってホール内は美音の宝石箱となったと言えよう

夢に見た栄光(Traumgekrönt)

 再び不穏な雰囲気になる。しかし、しばらくすると「夜鳴きうぐいす」のような美しさが戻ってくる。全体的に言えるのだが、トランペット等はミュートによって演奏されるから、耳が痛くなるようなことはない。この「夢に見た栄光」後半になると弦楽器が繊細ながらも時には重厚で美しい音色を響かせた

室内にて(Im Zimmer)

 冒頭木管楽器によって演奏されるから、ユリア・クライターの素晴らしい歌声が冴え渡った。ソプラノ歌手ってすごいなぁ…。
 ちなみに「室内にて」は約1分ちょっとしかない短い場面であり、この作品の中で最も演奏時間の短い作品である。

愛の賛歌(Liebesode)

 再び、最初の2曲の不穏感漂う雰囲気に戻ってきた。「愛の讃歌」という表題には若干裏腹な気もする。
 歌詞の内容も「愛の讃歌」だけども…。

夏の日(Sommertage)

 最後。今までにはなかった多少早いテンポで幕を開ける。そして、フィナーレなのかさまざまな楽器が盛り上がりを見せる。
 最も、最終部においてかなりの盛り上がりであり、シンバルが打たれる。あれは非常に壮大であり、見事な頂点部を形成した。
 その後はすぐに静かになり、静かに締めくくる。

マーラー交響曲第5番嬰ハ短調

第1楽章:Trauermarsch

Trauermarsch
 開始早々、緊張の瞬間である。柔らかい音色のトランペットによるファンファーレであったが多少のミスがあった。プロでも難しいんだなぁ…。そして、大爆発したかのようなど迫力。早速ノット先生と東響の黄金コンビに基づく圧倒的な音圧に圧倒された。特にホルンの音色が素晴らしかった。この時、「凄まじい演奏になるだろう」と確信した。
 そして、弦楽器による主要主題が奏でられる。ノット先生は前半のプログラムとは全く異なり、非常に厳しい表情で指揮をしていた。しかし、時折しなやかに指揮をすると、穏やかで撫でるように音色が鳴り響いた。
Plôtzlich Schneller. Leidenschaftlich. Wild
 第1トリオである。残念ながらトランペットの存在感は掠れ気味だった。しかし、ホルンの音色は強烈であり、今まで以上に聞いたことない迫力に圧倒された。強烈なうねりと強い推進力圧倒された。
 しかし、ここでもトランペットの存在は掠れ気味…。ちょっとなぁ…。
Tempo 1。
 再び主要主題が登場し、弦楽器ではなく木管楽器によって演奏される。陰鬱な雰囲気ながらも繊細で穏やかな音色を響かせた。ティンパニの小さな小さな冒頭部分のリズムの後、第2トリオである。ホルンの伸びやかな音色と、美しい弦楽器が折り重なってやがて激しくなっていき、強烈な場面を迎える。唸る弦楽器と木管楽器、そして存在感大のホルンが壮絶な頂点部を形成した。これは強烈である。
 そして、冒頭のファンファーレが静かに奏で、静寂に第1楽章を終える。

第2楽章:Stürmisch Bewegt

Stürmisch Bewegt. Mit Größter Vehemenz
 アタッカで第2楽章。標準的なテンポで厳格に第2楽章の幕を開ける。第1楽章の余韻が残りつつ、激しい演奏の名残があった。なお、コンサートマスターの水谷晃先生は椅子から飛び上がっていた第2主題のチェロは滑らかに奏でられており、ノット先生のしなやかな指揮によってか撫でられた第2主題は大変素晴らしい音色だった。力強いチェロの音色が特に素晴らしかった。
Langsam Aber Immer
 展開部。第1楽章のような静寂感に包まれる。ノット先生の繊細さが際立った。静寂な場面が続くと集中力が切れてしまったり、意識が飛んだりすることがあるが、今回は全くそんなことはなかった。素晴らしい緊張感であった。後半になると、明るい行進曲調になるが、第1主題が戻ってきて再現部となる。時折見せるホルンと木管楽器のベル・アップがとても格好良かった。。
 その後の再現部第2主題が引き摺るように登場し、ノット先生の熱のこもった指揮に乗って厚みのある弦楽器が鳴り響いた。思わずグッと力が入った。東響の素晴らしいホルンと木管楽器と弦楽器が鳴り響いていたのが非常に印象的だった。
Nich Eilen
 そして、再現部第2主題が演奏された後、輝かしい金管楽器のコラールが待っている。吠えるほどのトランペットの音色が鳴り響いた方が好きだったのだが、壮麗な音色だったので良かった。その後の、木管楽器のベル・アップの音色がド直球で響いてきたため、思わず涙が出てしまった数ある作品の中で、第2楽章の時点で涙を流すことは今回が初めてだった。思わず太文字にしてしまった
 その後も、冒頭の荒々しさが再び戻ってくるのだが、冷めることなく強い推進力と熱量をもって奏でられていた。

第3楽章:Scherzo

Scherzo
 ホルン協奏曲の始まり。少しゆっくりなテンポであったが、その後標準的なテンポになった。しかし、今回のホルンは素晴らしい音色であり、冒頭からこの第3楽章に大きな期待があった。第1主題は、ヴァイオリンの繊細な高音とともに、重厚感あふれる低弦楽器の音色、そしてグロッケン・シュピールの音が可愛らしさを齎す。この時のノット先生は、先生自身が楽しんでいるように見え、ワルツを踊っているかのようだった。第2楽章と第3楽章の間に少々長めの休息が入ったのが良かった。第1楽章と第2楽章はやや陰鬱であり、激しい音楽であるから場面が変わる第3楽章の間に少々の間を入れたのである
 快速的テンポで流れるような第1主題は聴いていて非常に楽しかった。 
Etwas Ruhiger
 レントラー風の旋律を持つ第2主題がヴァイオリンで提示される。テンポが遅くなる演奏が多いが、このときノット先生は極端に遅くせず、ワルツのように軽やかに楽しそうに指揮をしていた。広範囲なると、多少荒々しくなりホルンが強烈な音色を響かせるのだが、この時の東響のホルンの音色は凄まじい迫力であり、あらゆるものをかき消すような音色に圧倒された
Molto Moderato
 ピッツィカートが3拍子を刻んでいく。静寂な中、弦楽器のピッツィカートが刻まれたのだが、繊細で丁寧に進んでいった木管楽器や弦楽器が美しくやさしく奏でられていた。途中のホルンのソロ・パートは流石の音色であった。それと共に、オーボエの甘美な音色が素晴らしかった
 再び第2主題が登場したら展開部。後半につれて荒々しくなり、東響の凄まじいホルンが鳴り響く。そして、ホルツクラッパーはしっかり鳴り響いていた。注目の場面でもあった。。
Tempo 1
 そして、再現部第1主題。冒頭のホルンの音色が再び登場する。私は再現部第1主題の方が好みだ。ノット先生は、提示部よりも熱のこもった演奏であって、より一層華やかさと迫力が増していたグロッケンシュピールも加わって可愛らしさも相まって非常に幸せなスケルツォであった。
 荒々しさも垣間見えて、途中は何かも飲み込んでしまうような勢いに飲まれそうになったこともあった。ノット先生の凄まじいパワーがこれでもかというほど伝わってきた。
Tempo 1 Subito
 第3主題の再現。再び、東響の素晴らしいホルンが鳴り響いていた。第3主題の再現であって、提示部とさほど大きく変わらず、再び繊細な音楽を堪能した。
 コーダに入ると凄まじい迫力であり、テンポも速めて力強く締め括った。ここで1曲終えたかのような雰囲気であった
 第4楽章との間には休息があったが、ノットの先生の熱気は冷めることを知らなかった
 そして、第4楽章へ。

第4楽章:Adiagietto

 言葉を加えるほどもない。東響の美しい弦楽器が冴え渡った。薄っぺらくもなく、低減楽器の重厚な音色も相まってまさに「愛の楽章」だった。ノット先生のしなやかな指揮法によって引き出された甘美の音色は、とても激しい第1楽章と第2楽章の後だったとは思えない。第3楽章終えた後の休みがここまで生きていくとは、ただの「休み」ではない
 中間部の階段を上がるような旋律は、どこまで高く行くのだろうか。天へ届きそうな美しさの音色に加えて、抑揚をつけた演奏は引き込まれるばかり。ノット先生の音楽にはいつも驚かされる。
 そして、第5楽章へ…。

第5楽章:Rondo: Finale

Rondo-Finale
 冒頭ホルンによって幕を開けるのだが、失敗しないか不安になるが、全くそのようなことはなかった。このホルンの音色によっていよいよ華やかな第5楽章が始まると思うともうワクワクが止まらない。
 そして、ホルンや木管楽器が軽やかに第1主題を奏でていった。第3楽章の名残があるかのようだった。
 低減楽器が第2主題を奏で始める。冒頭の方は第3楽章のように穏やかで楽しげに演奏していた。それにしても、ホルンの音色が雄大で迫力のある音色には圧倒された。。
 恐らく、展開部。大きな波を描くように弦楽器が奏でられる場面は大変素晴らしく、ノット先生の大きな指揮にのって壮大な音を奏でた
 第5楽章では、何度か木管楽器がベル・アップをする箇所があるのだが、木管楽器の音色もしっかり届いてた。あの場面のたびに感動していた
 後半になると、迫力あるホルンと共に力強いティンパニが鳴り響いていた。トロンボーンも登場して重厚ある音色を響かせた。
Nicht Eilen. A Tempo
 フルート等の木管楽器が下降して、第2主題と第1主題が対位的に進んでいく。さまざまな場面に移り変わるので、何か映画を見ているようだった。その後、フィナーレを思わせる場面へ。強いティンパニの音色と共に、弾けるような迫力に移り変わる。もっとも、トランペットの音色は乏しく、他の楽器に埋もれてしまった。しかし、弦楽器の美しさと、力強いトロンボーンの音色は数さまじい音色だった
 その後もトランペットの音色はあまり存在感はなかった。やはり最初のミスが響いているのだろうか…。
Grazioso
 木管楽器がリズミカルに奏でていく。2拍子で行進曲風ではあるものの、スラーによって非常に滑らかに演奏されているのである。東響の木管サウンドは軽やかで美しかった。
 やがて、楽器が増えてコーダへ。ここでやっとトランペットの音色がしっかりと聴こえてきた。「なんだ、鳴るじゃん!」。ノット先生はもう燃え盛っており、迫力ある堂々たるフィナーレを奏でていた。そう、この華やかで壮大な音楽があってこそのフィナーレである。
 そして、快速的テンポでホルンが素晴らしい音色を響かせ、あらゆる楽器がフィナーレを彩った。最後の最後ではノット先生の強烈な熱量に圧倒され、見事に曲を締め括ったのだ
 すぐに拍手の嵐となった。コロナ禍でなければブラボーの嵐であったであろう。

総括

 ここ最近、1曲や2曲のプログラムが多いが、今回は3曲もあった。なかなか思い出して書くのが大変だった。特に、最後がマーラー交響曲第5番という長い曲だったので大変だった。
 前置きはこの辺りにして、やはりノット先生と東京交響楽団は素晴らしい!!期待を裏切らない。時には伝統的なスタイル、時には思いっきり美しく、時には思いっきり燃え盛る。これがノット先生の魅力ではなかろうか。それに応える東京交響楽団も素晴らしい。
 もっとも、今回の定期演奏会ではマイクスタンドが何本も立っていたため、録音される可能性があるかと思われる。ノット先生のマーラー交響曲第5番は必聴に値しよう。実際に、今回の定期演奏会は完売したようである。




 そして、鳴り止まぬ拍手と(毎度お馴染み)一般参賀の様子も。


 私はこの時スタンディングオベーションをした。いつものことだ。
 なお、この曲の解説等について、プログラム冊子「Symphony」7月号で読むことができる。

 いつもは、コンサート行った後に記事を書いているのだが、私情が重なったのと期末試験を控えているためなかなか書けなかった。
 期末試験頑張るか…

前回のコンサート

law-symphoniker.hatenablog.com

レスピーギ:交響詩「ローマの松」を聴く(その1)

Introduction

 今回は、レスピーギ交響詩「ローマの松」を取り上げる。取り上げた理由として、以下のコンサートに行くことにしたからである(予定)。
www.tmso.or.jp
 小泉和裕先生東京都交響楽団によるレスピーギ交響詩「ローマの松」であり、大変楽しみである。
 さて、オットリーノ・レスピーギであるが、ベートーヴェンやブラームと比べて知名度はやや劣る作曲家になろう。しかし、本記事で取り上げる交響詩「ローマの松」の他に、「ローマの祭り」「ローマの噴水」も作曲しており、合わせて、「ローマ三部作」と呼ばれ、レスピーギを代表する作品である。
 私は、ローマ三部作の中で最もの好きなのは、この交響詩「ローマの松」である。第1部〜第4部を通して、レスピーギの煌びやかなオーケストレーションが冴え渡っているからである。「ローマの祭り」も激しく、素晴らしい作品だが、やはり交響詩「ローマの松」の方が上回るだろう。
 第1部は、煌びやかな音色が響き渡り第2部幻想的な舞台裏のトランペットと壮大な音楽第3部美しいクラリネットと弦楽器のハーモニー第4部全てを凌駕するかのような圧倒的なクライマックス。それぞれ特徴的な音楽が兼ね備えられている。
 特に第3部から第4部へ移る途中に「鳥の鳴き声」が聞こえる(「天使の囀り」*1ではない)。これは、楽器等で代替されるわけではなく、実際の鳥の鳴き声を収録しているのである。実際に、NHK交響楽団の演奏では蓄音機を用いて演奏されていた。

 この発想は面白い。あのラヴェル*2でさえも思い付いたであろうか…。

レスピーギ交響詩「ローマの松」

山田一雄東京都交響楽団

評価:9 演奏時間:約23分


第1部:ボルゲーゼ荘の松 - I pini di Villa Borghese

 冒頭華々しいファンファーレが鳴り響く。その後のホルンも勇壮に奏で、木管楽器の軽やかな音色が一層華やかを醸し出す。冒頭のテンションの高さから、ヤマカズ先生のテンションの高さも窺い知ることができる。ホルンがかなり目立った音色をしているのが本演奏の特徴であろう。時折、ヤマカズ先生がジャンプしているのか、指揮台のところで足踏みをしている音も収録されている。第2部へ移る箇所は、accelerandoはそこまで強くはない。
 3分もない短い第1部であるが、堂々たる幕開けである。

第2部:カタコンバ付近の松*3 - Pini presso una catacomba

 静寂の中、低音楽器が第2部の主題を奏でている。そして、弦楽器が幻想的ながらも不安げな音色を響かせる。その後、フルートとファゴットの二つの楽器が幻想的に主題を奏でている。ヤマカズ先生らしく大きくテンポを揺らしながら主題を歌い上げている
 その後、舞台裏のトランペットが主題を奏でる。繊細で美しい音色が響き渡っており、天国へ召されるかのような美しい音色が響き渡っている
 幻想的な裏方のトランペットが鳴り終わった後、一変して不穏な雰囲気に変わる。低減楽器が重いテンポで主題を奏でている。コントラバス・チェロ→ヴァイオリンと少しずつ楽器が増していき、第2部のクライマックスへ導く。弦楽器が壮大に主題を奏で、トロンボーン等の金管楽器が壮大な音色を響かせている。テンポも遅く、巨大な音楽へと豹変して演奏し、強烈なテンポの操りはいかにもヤマカズ先生らしい
 その後、楽器の数も減り、静寂な雰囲気に変わるが、フルート等が消えゆくように第2部の主題を奏でている。

第3部:ジャニコロの松 - I pini del Gianicolo

 流れるように美しいピアノが鳴る。その後、クラリネットが美しい第3部の主題を奏でるのである。第2部と同様の構造であるが、弦楽器の音色は清らかで美しく、幻想的な海が広がるかのような雰囲気である。その後のチェロ等が第3部の主題を奏でる箇所があるが、その点も力強さと美しさが見事に調和されており、素晴らしい音楽が展開される
 第3部にもクライマックスがある。オーボエがやや哀愁が漂う主題を奏でる箇所がある。それが聴こえ始めたらクライマックスへの道のりである。途中チェロのソロ・パートがあるがとても美しい音色であり、ヴァイオリンが総じて哀愁漂う主題を奏でていくヤマカズ先生らしいダイナミックな音楽作りに感動する
 弦楽器による海を再現し、まさに「満月の中に浮かぶ松と幻想的な月光が描かれる」との表現が最も相応しいであろう。
 再び、冒頭の美しいピアノが登場し、クラリネットが第3部の主題を奏でる。そして、鳥の鳴き声が響き渡る。実際のホールではどのように聴こえるのだろう…。

第4部:アッピア街道の松 - I pini della Via Appia

 ピアノと弦楽器が少しずれているような気がするのだが…。そして、クラリネットとホルンがやや不気味な音色を奏でる。クラリネットが特徴ある主題を奏でるが、これがアッピア街道の重要な主題となるのである
 そして、ホルンとファゴットが力強く主題を奏で、トランペットが弱音にながら華やかさを添える。楽器が増していき、いよいよクライマックスへ!
 強烈なティンパニと共に、唸る弦楽器と共に圧倒的なクライマックスを築く。すべての楽器が負けないほどの強烈な音色には圧倒される。ヤマカズ先生と都響と共に築き上げるフィナーレは全てを飲み込むような凄まじいものである。途中変ロ長調の音階に入る前の強烈な煽り、そして、勇ましい変ロ長調の音階は何か勝利を悟ったかのような壮大さである。
 気がついたら歯を食いしばるほどの気合の入れよう。ヤマカズ先生による「ローマの松」は期待通り、激しい演奏であった。

www.hmv.co.jp

*1:貴志祐介角川ホラー文庫

*2:モーリス・ラヴェル。オーケストラの魔術師と呼ばれていた。

*3:カタコンバとは古代ローマでの初期キリスト時代の墓のこと