鵺翠の音楽の世界と読書の記録

クラシック音楽を趣味とする早大OB

〜備忘録〜【ウィーン響】2017年来日公演 in みなとみらいホール

プログラム

ベートーヴェン交響曲第5番ハ短調

 ベートーヴェンの中期の傑作であるこの交響曲は1808年に完成されている。「運命」の
通称で知られており、これは晩年のベートーヴェンの身の回りの世話をしたアントン・シンドラーがこの曲冒頭のタタタターという動機についてベートーヴェン自身が「運命はこのように扉を叩く」と語ったと伝えていることによるが、今日ではシンドラーの証言は作り話の可能性が強いとみられている。
 それはともかく、この交響曲は18世紀の古典様式を超える新しい様式の可能性を様々な角度から追求していた中期のベートーヴェンらしい大胆な作品で、一般に運命動機として知られるタタタターの音型を中心とする闘争的性格、全体の暗→明の構図など、苦悩の克服という理想主義的な理念が表現されている点で、以後のロマン派の作曲家に大きな影響を与えることになった。そうした理念の表現のためにこの交響曲には様々な面で革新的な新機軸一第1楽章全体が徹頭徹尾運命動機によって構築されていること、この動機を全曲に循環的に用いることで全体の暗から明への流れを明確にしていること、第3楽章と勝利の第4楽章をクレッシェンドで連続させることで明への移行を劇的なものとしていること、その第4楽章では当時交響曲には通常用いられていなかったトロンボーン、ピッコロ、コントラファゴットを導入して勝利感を強調していることなどーが打ち出されており、それらが全体の緊密な構築のうちに効果的に生かされている。

(プログラムの曲目解説、寺西基之先生の記述を引用・抜粋)

マーラー交響曲第1番 二長調「巨人」

 ロマン派の最後期の作曲家グスタフ・マーラー(1860-1911)は何より交響曲作家として知られているが、彼の最初の交響曲にあたるこの第1番は当初は交響詩として作曲されている。
 最初の稿が1889年に初演された際には5楽章2部構成の交響詩として発表されているし、その後改訂された形が1893年に初演された時も、”交響曲形式の交響時「巨人」というタイトル「巨人」とはジャン・パウルの小説の題)のもと、各部・各楽章に文学的な標題が付けられていた。その標題や、さらにこの作品の主題の幾つかがマーラー自身の恋愛体験と関わりのある自作の歌曲を引用したものであること、また曲全体の構成や主題や展開法などの特徴から、この"交響時”がかなり具体的な文学的内容を持っていたことは明らかだ。つまり恋愛、憧憬、失意、精神的苦闘とその克服といった青春の感情、さらにそこから広がる人生観、自然観、世界観が大きなスケールで表現された作品と考えられるのである。
 しかしマーラーはさらにオーケストレーションダイナミクスを中心に改訂を加え、「巨人」という全体の題とともに各部・各楽章の題を取り去ったのみならず、元々"花の章”と題されていた楽章を削除して、1896年3月16日ベルリンで4楽章の"交響曲”として初演した。こうして現行の交響曲第1番の形が出来上がったのである(その後も細部の手直しが加えられている)。

(プログラムの曲目解説、寺西基之先生の記述を引用・抜粋)

 ウィーン交響楽団首席指揮者フィリップ・ジョルダン(当時)。初めて海外オケを聴きに行った時。ベートーヴェン交響曲第5番マーラー交響曲第1番「巨人」も素晴らしい演奏であった。アンコールは、ヨハン・シュトラウス「トリッチ・トラッチ・ポルカ「雷鳴と電光」
 フィリップ・ジョルダンバーンスタインのようにジャンプして指揮をしていた記憶がある。

*1:2017年当時