Introduction
クラシック音楽についての記事は2023年3月17日以来、このように聴き比べのような記事は2022年11月20日以来となる。久しぶりに書くのでどのように書いていたか感覚を取り戻すのに時間がかかりそうだ…。
今回は、ヒンデミット:ウェーバーの主題による交響的変容を取り上げよう。パウル・ヒンデミット *1は、ドイツ・ハーナウ出身の作曲家、指揮者、ヴィオラ奏者である。ヒンデミットは、新即物主義を推進し、20世紀ドイツを代表する作曲家として同時代の音楽家に強い影響を与えた作曲家である。その中でも、ウェーバーの主題による交響的変容ヒンデミットの作品の中で今日最も演奏される機会の多い作品のひとつでもある。わかりやすく、演奏時間も約20分程度と親しみやすい作品である。しかし、意外と本作品を取り上げているCDは少ないのが残念な印象である。
本作品の題名にも出てくる「ウェーバー」とは、カール・マリア・フォン・ウェーバー*2のことである。
ウェーバーもまた序曲について多く演奏されている。そして、本作品は、ウェーバーの作品のうち、ピアノ連弾曲『8つの小品』作品60と、『6つのやさしい小品』作品10a、劇付随音楽『トゥーランドット』作品75の序曲の中から主題が採られ、これらとその変容の形で4つからなる楽章が作られているのである。このように他の作曲家の作品を引用されている作品については原曲を聴くというのが一つの醍醐味である。
第1楽章は、4手ピアノのための『8つの小品』作品60の第4曲「Allegro, tutto ben marcato」が原曲となっている。
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第2楽章は、付随音楽『トゥーランドット』の序曲である。
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第3楽章は、4手ピアノのための『6つの小品』作品10aの第2曲「Andantino con moto」
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https://www.youtube.com/watch?v=VlBd-j--UYw
第4楽章は、4手ピアノのための『8つの小品』作品60の第7曲「Marcia maestoso」。
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ヒンデミット:ウェーバーの主題による交響的変容
ジョージ・セル:クリーヴランド管弦楽団
評価:8 演奏時間:約20分
第1楽章:Allegro
冒頭迫力ある低音と切れ味鋭い弦楽器の音色によって幕をあける。厳格な指揮者であるジョージ・セルらしく一糸乱れぬ緊迫感のなる音色が響き渡る。そして、アメリカ系オーケストラの特徴の一つでもあるトランペットの音色がややドライでスッキリとした音色が素晴らしく華々しく演奏されている。
若干単調の第1楽章であるが、生き生きとした活気あふれる音楽である。
第2楽章:"Turandot, Scherzo", Moderato - Lebhaft
私が本作品で最も好きなのがこの第2楽章である。木管楽器が楽しげに主題を演奏する裏で鐘が鳴り響く。
快速的テンポで駆け抜けるのであるが、連符はもちろんのこと全くアンサンブルが崩れていないことが驚きである。徐々に楽器が増えて聴き、篭りがちになるが全くそのようなことはなく全ての楽器がしっかりと主題を演奏している。「これがジョージ・セルが鍛え磨かれたアンサンブル」なのだ。
中間部では、ジャズ風のリズムを伴って演奏されノリが良い部分である。さすがはアメリカ系のオケといえようか、ガーシュウィンのような雰囲気も垣間見えるが、やはりセルらしく厳格で厳しい印象の方が強い。様々な楽器が交錯する第2楽章であるが、やはりセルの指揮で聴いてみたい。
最終部では、主題が若干変形されたものが繰り返されるが、楽器が増えていくにつれて徐々の燃え上がり、相当の迫力がある。鐘の音色もハッキリと聴こえる。