クラウス・テンシュテット(Klaus Tennstedt)
1926年6月6日ドイツ国、メルゼブルクにて生まれる。
1998年1月11日ドイツ・ハイケンドルフにて亡くなる。
今回紹介する指揮者は、クラウス・テンシュテット。私の中で最もお気に入りの指揮者の1人である。
テンシュテットは、特にベートーヴェン、ワーグナー、ブルックナー、ブラームスなど、ドイツ・オーストリア系の作曲家を得意としており、中でもグスタフ・マーラーの演奏解釈で知られている。実際にマーラー指揮者といえば…窮極的にレナード・バーンスタインとクラウス・テンシュテットのニ大巨頭になろう。両者とも大迫力の演奏を繰り広げる指揮者であるが、私は毅然としてテンシュテット派である。バーンスタインにはない、独特の悪魔的な迫力さがテンシュテットにある。実際に、平林直哉先生は以下のように述べている。
「テンシュテットのマーラーの演奏には、たとえばかつてのブルーノ・ワルターのような甘美さはなく、あるいはレナード・バーンスタインのように作曲者と一体となったような感情の爆発はない。彼の場合、その2人の指揮者と違って、作品のそこに流れるマーラーのグロデスクな情感を、それこそ刃物で抉り出そうとしているかのようである。」
まさしくその通り。特にマーラー交響曲第6番の演奏は凄まじい。想像を絶するほどの大演奏である。その点についてはまた別の機会に記すことにしよう。
テンシュテットはロンドン・フィルハーモニー管弦楽団との相性がよく以下の評価がある。
「我々はクラウスのためなら120%の力を出し切る」(匿名のロンドン・フィル楽団員)
「彼の音楽理論はオットー・クレンペラー以来もっとも深いものであろう」(タイム誌)
「テンシュテットなきロンドン・フィルはミック・ジャガーのいないローリング・ストーンズのようだ」(ガーディアン紙)
カラヤン@ベルリン・フィル、ベーム@ウィーン・フィル、ショルティ@シカゴ響のようにテンシュテット@ロンドン・フィルという黄金コンビだろう。テンシュテット@ベルリン・フィルの録音もよくあるが、実際の仲はお世辞にも良いものではなかったという*1。しかし、テンシュテット@ベルリン・フィルも良い演奏を繰り広げる。その点も別の機会に記そう。
個人的にテンシュテットのベートーヴェンやマーラー、ワーグナーは非常に良いが、少々ブルックナーは他の指揮者に比べて少々劣ってしまう印象である。
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主なオーケストラの首席指揮者等の在籍
首席指揮者
- NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団首席指揮者(1979-1981)
- ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団首席指揮者(1983-1987)