Symphonikerの音楽鑑賞日記

クラシック音楽を趣味とする早大生

ブラームス:交響曲第1番ハ短調を聴く(その3)

Introduction

 秋学期の期末試験が終わり、2月上旬は少し休もうと思い、やっとのところで記事を書いた。期末試験は…この話は無かったことに。
 実は、昨年度末あたりからブラームス交響曲第1番についてたくさん書こうと思っていた。そして、下書きで書くべき演奏をメモがわりに作成しており、やっとその3を書くことができた。
 →非詳細な解説はこちら
law-symphoniker.hatenablog.com

ブラームス交響曲第1番

カール・ベームベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

評価:9 演奏時間:約43分

第1楽章:Un Poco Sostenuto, Allegro

 冒頭ベームらしい厳しく、重々しい雰囲気で幕を開ける。弦楽器も相当気合が入っているようだ。安定したテンポと、重々しくも透き通るようなベルリン・フィルの音色が響き渡る。序奏部から既に感動的
 提示部に入ると熱量が凄まじいまま第1主題を奏でる。決して遅くないテンポに加えて、カラヤンを凌駕するほどの圧倒さがそこにある。「決して地味とは言わせない」そのような言葉がピッタリであろう。第2主題に入ると、迫力も十分ながら透き通るような美しい弦楽器が奏でられている。地味との印象が強いベームであるが、時には何もかも凌駕する程度の熱量を持って指揮することがあるのだ。しかし、熱量があっても、カラヤンのように強烈な金管楽器を響かせるようなものではなく、あくまでも自然体を貫いているのがベームの魅力の一つである。提示部繰り返しなし
 展開部も提示部と同様に迫力とキレと流れるような美しさが登場する。
 再び熱量のこもった第1主題等が出現し、再現部を経てコーダへ。コーダは繊細さを極め、落ち着いた雰囲気を持って終結する。この後の穏やかな第2楽章へ承継するように穏やかに締める。

第2楽章:Andante Sostenuto

 穏やかな第2楽章。第1楽章の激しさは一旦影を潜め、美しさと壮大さが十分に響き渡る演奏が繰り広げられる。しかし、決して薄っぺらい演奏ではなく、ブラームス特有の重厚な音色が響き渡る
 中間部を経て、コンサートマスターが活躍する場面に入る。ヴァイオリン・ソロは、ミシェル・シュヴァルべ。透き通るような繊細な音色と、それを支える美しい弦楽器ベームの本格的な解釈と、世界屈指のオーケストラであるベルリン・フィルが織り成す美しい音楽は言葉で言い表すことは難しい。それほど、芸術性が高いのである。

第3楽章:Un Poco Allegretto E Grazioso

 淡々としたテンポで進められていく。もっとも、弦楽器もそうだが、木管楽器クラリネットも非常に透き通るような音色で美しい。気を衒わず、自然なテンポで奏でていく指揮はまさに本格的。
 途中「タタタターン」というリズムが出てくる箇所は、大海原にいるような圧倒的なスケールを構築する。鬼気迫る緊迫感も垣間見えるのもまた素晴らしい。

第4楽章:Piu Andante, Allegro Non Troppo, Ma Con Brio, Piu Allegro

 いよいよ、第4楽章である。
 第1楽章の冒頭を彷彿されるような重々しい序奏部分である。序奏部分第1部は標準的なテンポであるが、ベーム特有の厳しさが伝わってくる。第2部は雄大アルペン・ホルンが聴こえてるが、力みはなく、自然体ながらも押し寄せる美音に圧倒される
 そして、若干の静寂があり、かの有名な第1主題が奏でられる。気を衒わず、スムーズに第1主題が美しく奏でられる。淡々としたテンポによって美しい音色が響き渡り、その後の木管楽器も明るく、楽しげに演奏される。その後、金管楽器が加わってテンポを加速し、迫力十分な音楽を奏でるベルリン・フィルとのベームは全く地味ではない。
 再現部も、スッと第1主題が我こそはと堂々と登場し、美しい主題がまた戻ってくるのである。ロマン溢れるジュリーニとは異なり、本格的な古典派を演じている。その後も、緊迫感とカラヤンに引けを取らないほどの迫力に圧倒される。
 そして、コーダに入る。最終部の熱狂さは途轍もない。テンポを極端に遅くすることがないため、サッパリとしながら圧倒的な音量に驚かされる。最後の連打音もテンポに変化を加えることなく、堂々と締めくくる。
 
 このベームの演奏の燃焼度は数ある演奏の中でもトップクラスに入るだろう。