Symphonikerのひとりごと

クラシック音楽を趣味とするロー生

ブラームス:交響曲第2番ニ長調を聴く(その1)

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Johannes Brahms [1833-1897]

はじめに

 秋になるとブラームスが聴きたくなる今日この頃。今回取り上げるのは、ブラームス交響曲第2番ニ長調
 さて、ヨハネス・ブラームスという作曲家はご存知だろうか。音楽室に飾られている一人かもしれない。ブラームスは大層ベートーヴェンを尊敬していたとされ、交響曲第1番は推敲を重ねて約20年かけて作曲したとされている。荘厳で厳格なベートーヴェンの偉大さを詰め込んだ第1番とは対照的に、穏やかで華やかさがあるのが交響曲第2番である
 第1楽章と第4楽章が共にニ長調であり、すべての楽章が「長調」で作られた第2番はブラームス交響曲の中でも最も明るく、穏やかで華やかな曲ではないだろうか。そのような観点、雰囲気からベートーヴェンの田園交響曲(第6番)にちなんで、ブラームスの田園交響曲とも評されることもある。

ブラームス交響曲第2番ニ長調

ギュンター・ヴァント:ハンブルク北ドイツ放送交響楽団NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団

評価:8 演奏時間:約41分
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 今回取り上げる演奏は、ギュンター・ヴァント:ハンブルク北ドイツ放送交響楽団NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団の演奏である。
 ブラームス指揮者といえば…カラヤンベームジュリーニusw...。しかし、今回はブルックナー指揮者で著名なギュンター・ヴァントである。ヴァントの総論的な演奏については以下の記事を参照されたい。
law-symphoniker.hatenablog.com
 ヴァントのブラームスを聴いてみたくて、一気にブラームス交響曲全集を購入したのだ。蓋を開けると、期待通り、ヴァントらしい素晴らしい演奏が入っていた。

第1楽章:Allegro Non Troppo

 体に響いてくる低弦楽器に加え、牧歌的で美しいホルンが第1主題を奏でる。静かな第1主題であるが、ヴァイオリンや木管楽器が基本動機に基づく明るい旋律を歌う経過句は非常に煌びやかとしており、盛り上がってくるとヴァントらしい力強い迫力が存在する。やがて、チェロの第2主題が流れるように奏でていく。この第2主題は、ブラームスの子守歌」として親しまれている子守歌 op.49-4を嬰ヘ短調にしたものを基礎としている。第2主題を支えるヴァイオリンの音色も美しく、木管楽器が奏でる第2主題も非常に繊細で美しい。流れるような箇所は美しく、歯切れ良いリズムの箇所は力強くとメリハリのついた演奏はブラームスの特色を十分に引き出す演奏だといえよう。
 提示部繰り返しなし。ホルンの第1主題が聴こえたらそこから展開部。2管編成ながら対位法が駆使される展開部であるが、ブルックナー指揮者として著名なヴァントが指揮すると実に明瞭に指揮をする。動静が激しい展開部であるが、ヴァントは上記のように見事にメリハリがついた演奏であり、繊細なヴァイオリン、力強い金管楽器を見事に操る。オーボエが静かに第1主題を出すと気分は落ち着き,再現部へ。
 再現部は提示部ほど激しい場面は少ないが、穏やかで繊細な演奏がなされている。特に第2主題はあらゆる楽器が落ち着いて演奏されており、木管楽器や弦楽器の繊細な響きが美しい
 コーダはテンポを落とし、非常に繊細で美しい弦楽器が奏でらておりつい体が揺れてしまうブラームスらしい美しさを残して第1楽章を締める。

第2楽章:Adagio Non Troppo

 チェロの少々もの寂しい第1主題から始まる。第1楽章とはこれはまた雰囲気がガラッと変わったような繊細な響きであるブラームスはチェロの場面が多く、しかも美しいものが非常に多い。これもブラームスの特徴の一つと言えようか。ブラームス自身「自分の生涯でいちばん美しい旋律」と語ったと言われるものでもある。繰り返すが、弦楽器が非常に美しい。第2主題は木管楽器シンコペーションは何だろう。ベートーヴェン交響曲第6番と対比するのであれば、鳥の鳴き声になるのだろうか。それにしても弦楽器が唸る美しさには圧倒される。第2楽章の目玉は最終部。金管楽器の力強い導入によって、弦楽器が連符に乗せて唸る唸る、引き締まった演奏をするヴァントにかかると物凄い迫力である。その後の静かな場面でも弦楽器が引き締まった音色である。

第3楽章:Allegretto Grazioso

 オーボエの軽やかな主題が印象的。第3楽章は短めでスケルツォ風の曲であるから、まさに伝統的な交響曲の構成といえよう。やがてテンポを早めて、弦楽器が力強く主題を奏でる。
 中間部になると、弦楽器の流れるような主題でありながらも重厚感満載のブラームス特有の弦楽器が印象的

第4楽章:Allegro Con Spirito

 もごもごと細かい音が動くような第1主題から始まるが、金管楽器が加わると快速的テンポで実に賑やかである。聴いていて心地よいテンポである。何よりも、厚みのあるヴァイオリンとヴィオラの第2主題が非常に美しく、流れるようで大変素晴らしい。しっかりとトレモロも聴こえてくる。随所に見られるホルンの下降音階も雄大な響きをしている。
 冒頭の第1主題が聴こえたら展開部。再現部かと思うがそうではない。フルートやオーボエといった木管楽器が軽やかに奏でながらも、随所断片的に弦楽器の力強い旋律がある。引き締まった演奏を繰り広げるヴァントにかかると、動静の差が大きく聴いていて楽しい。静かに木管楽器とヴァイオリンが聴こえるといよいよ再現部。
 再現部の第1主題は弦楽器の音程差が激しく、高音時の繊細な響きと低音時の重厚な響きが一挙に楽しめ。その後、すぐに第2主題に入るのだが、非常に重厚な響きであって力強さが満載である
 いよいよ、コーダに入ると力強さを増してトロンボーンの高音をはじめ、金管楽器が華やかに活躍し、堂々と力強く締め括る
 あらゆる楽器が様々な表情を見せる大変充実した演奏である。